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容器振ると中の透明の液体が青くなりますが、すぐに透明に戻ります。また、ボトルを振ると再び青くなりますが、やはり次第に色が抜けて透明になってしまいます。

「動 画」学生による実践

□ビーカーの上にフラスコを置くと、色の変化が観察しやすくなります。

「解 説」

フラスコを使って:試薬を調整した直後は真っ青で透明な液体、目の覚めるような濃いコバルトブルーです。10秒くらい静かにして待っていると、すーっと色が消えて無色透明の溶液となってしまいます。再び容器を振って溶液を空気と混ぜ合わせるようにすると、またきれいなブルーの液体となります。しかし、やはり数秒経過すると色は消えてしまうのです。操作は、相当な回数繰り返しても同じような色の変化を観察することができるのでマジック的な要素もあります。ボトル内の溶液の水面をよく観察してみますと、空気と接触している界面の部分がほんの少し青くなっているのがわかります。そこで、やさしくボトルを振ると、特に界面部分で青みがかった部分が広がっていき、またすぐに色が消えていくのがわかります。このことから、空気のある成分と混ざることで青くなり、水溶液内部に色を消す成分があるのではないかということが推察されます。

酸化還元反応が繰り返し起こる:色が青になったり無色透明になったりという変化は、メチレンブルーが酸化型(青色)と還元型(無色透明)を行ったり来たりすることによるものです。メチレンブルーは、水に溶けてきれいな青色透明となりますが、還元性を持つグルコースが酸素を奪うので、還元型の無色透明となります。しかし、容器を振ることで空気中の酸素に触れるため、メチレンブルーが酸化されて、青色を呈するようになるのです。容器内の酸素が補給され、その酸素を奪うグルコースが残っているうちは、色の変化の繰り返しが観察できるというものです。

反応速度を決める「温度」と「塩基」:実験ではお湯を用いて反応速度を高める工夫をし、温度が化学変化に影響を及ぼすということが理解しやすい実験でもあります。また、塩基である水酸化カリウムはグルコースの還元性を高めて、やはり反応を促進する役割を果たします。実際の操作では、グルコースをよく溶解させておく必要があります。溶け残しがあるまま加熱すると、グルコースが水酸化カリウムと強く反応して褐変し、全体が緑色になってしまうこともあります。また、多くの実験書では、丸底フラスコとゴム栓を使った例が紹介されていますが、手を滑らせてフラスを落下させたり、ゴム栓を押さえずに振ったために塩基溶液が飛び出してしまうことがあるので注意が必要です。フラスコの代わりにペットボトルを用いると、持ちやすく落としても割れない上、キャップがスクリュー式なので安全性も高まります。ただし、ペットボトル内に長期間塩基溶液を保存することはできないので、その都度処理するようにします。

色素「メチレンブルー」:メチレンブルーは色素として、学校教材として扱われることの多い物質です。特に生物分野では、光学顕微鏡で細胞の核を観察する際の染色液(ギムザ染色)としてよく使われています。化学分野でも、吸光度を用いた硫化物イオンの定量分析の他、活性炭の吸着力を調べる実験、光触媒の性能評価物質としても用いられるようになりました。特に、光との反応による光増感作用で活性酸素の一種を発生させるので、消毒・殺菌効果があります。水槽の魚の病気に効果がある薬剤としても用いられ、ホームセンター等で入手が可能です。

◇実験タイトル:メチレンブルーの色変化

◇サブタイトル:振るとブルーに

▽このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。


コメント一覧

返信2018年10月6日 1:21 PM

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