UA-119493607-1 ダニエル電池の製作 | らくらく理科教室
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化学基礎実験_実験NOTE

「表 題」ダニエル電池の作製と電池性能の測定

「目 的」亜鉛-銅によりダニエル電池を作成し、放電による変化を観察する。また、外部端子抵抗による内部抵抗の測定を試みる。

「実験理論」

  • ダニエル電池の金属板付近で起こる化学変化としては、亜鉛が電子を放出し亜鉛イオンとなり、銅イオンが電子を受け取って単体の銅に還元されることである。

Zn →[Zn2+ ] + [ 2e ] …①

Cu2+ + [ 2e ] → [ Cu ] …②

電子eを消去するために①+②としてまとめると…

Zn + Cu2+ → [ Zn2+ ] + [ Cu ]

  • この化学変化を電気化学的にみると、

Zn2+ + 2e = Zn – 0.762V_EZn

Cu2+ + 2e = Cu + 0.340V_ECu

酸化電位E=ECu-EZn より、

Cu2+ + Zn = Cu + Zn2+ + 1.102V

この酸化電位+1.102Vが、ダニエル電池の理論起電力になる。電池式は、電解液を組み合わせて次の表記になる。

(-)Zn|Zn2+・ZnSO4 | CuSO4・Cu2+|Cu|(+)

  • 電池性能の低下:化学電池は放電の進行によって化学反応の[速度 ]が低下し、劣化は電圧[降下 ]というかたちで表れる。主な要因としては、
    • 活物質濃度低下:反応に関わる化学物質の濃度が[低下 ]する。特に電極付近で起こることによる。
    • イオン伝導度の低下:電解質内を移動するイオンの[速度 ]が低下する。電解質膜の劣化もイオン伝導度の低下をもたらす。
    • 電極活性の低下:金属板の表面や[触媒 ]機能が低下することによる。
  • 電池性能の測定:最も簡便な方法が電池の内部抵抗を測定することである。内部抵抗rは、開放電圧Eの電池に抵抗Rをつないで実際に電流を流した時にかかる電圧降下の割合で、V = E-rI で表すことができる。また、抵抗にかかる端子電圧はオームの法則V=RIにより求まる。

V=E-rI   V=RI

電流Iを消去すると内部抵抗rは

r=R[(E/V)-1]

この内部抵抗rは、電池性能を判断するバロメータとなる。

  • 回路に流れた電気量:金属板の質量の変化から、移動した電子の量がわかる。1molの物質量に相当する電子の電気量は、約96485〔C〕とわかっている(ファラデー定数)ので、おおよその電気量を算出することはできる。移動した電子の量をn〔mol〕とおくと、

電気量:Q = n(電子の量)×96485〔C〕

しかも、電気量Q は、電流I〔A〕が流れ続けた時間t〔s〕の積でも表現されるので、

電力量:Q=It〔C〕

したがって、電気を流していた時間がわかれば、平均的に流れていた電流値も算出可能である。

「準 備」精密電子天秤 銅板 亜鉛板 ろ紙2枚1mLピペット2本 0.1mol/L硫酸亜鉛水溶液5mL セロファン紙(半透膜) 1.0mol/L硫酸銅水溶液5mL ペーパータオル バット リード線2組 モーター(電子オルゴール) ガムテープ テスター 抵抗(5~100Ωなど) アセトン10mL

「操 作」

  • 各極板の質量を精密電子天秤で計測する。(シャーレ上)
  • 銅板と亜鉛板の端を少し折り曲げておく
  • 次のものを下方より順に上に積み重ねて電池セルを作成する。
    • 亜鉛板
    • ろ紙B(1mLピペットで1mol/L硫酸亜鉛水溶液で十分に湿らせておく)
    • セロファン紙(半透膜)
    • ろ紙A(1mLピペットで0mol/L硫酸銅水溶液で十分に湿らせておく)
    • 銅板
    • ペーパータオル
    • バット
  • 銅板と亜鉛板の折り曲げ部分に、リード線のワニ口クリップを接続し、モーター(低電圧で作動するソーラー用または電子オルゴール)を組み入れる。モータ等は安定させるためガムテープなどで固定しておく。
  • モータの安定動作を確認後、回路にテスターを組み込み、電流値(短絡電流)を計測する。 → 結果へ
  • モータをはずして、電池の開放電圧E〔V〕と抵抗の端子電圧V〔V〕を数回に分けて計測する。
    • 電池の開放電圧E〔V〕を計測し、そのままテスターの両端子に、あらためて指定の抵抗(リード線2本追加)を接続し、電圧(抵抗の端子電圧V〔V〕)を計測する。
    • 抵抗の一端をはずして回路を開放し、再度開放電圧E〔V〕を測定する。その後、また抵抗を接続して端子電圧を測定する。
    • この操作を4回繰り返してデータを取得し、結果表(電池性能データ)に記入する。
  • 極板を押さえつけて、電流が流れやすい状態を保ち、モータをできるだけ長時間稼働させ続ける。 → おおよその時間を計測しておく。
  • 放電終了後に電池を解体し、金属板やろ紙上の変化を観察する。
  • 金属板を軽く洗浄し、駒込ピペットでアセトン(適量10mL程度)をかけて乾燥させる。完全に乾燥したことを確認後、電子天秤で精秤する。

「工夫と注意・片付けなど」

  • リード線やモータは濡らさないように。
  • ろ紙は破棄、金属板とセロファンは洗浄して返却。
  • 金属板は硬めブラシで表面をきれいにみがいて保管する。

「観察・結果」

  • 作製した電池セルにモーターを組み入れた全体図
  • 長時間放電終了後、電池を解体時の各金属板やろ紙の変化の観察
    • 亜鉛板:
  • 銅板
  • ろ紙
  • 金属板の質量変化
放電前g 放電後g 変化量g
亜鉛板
銅板

 

  • モータの安定動作を確認後に流れる電流(短絡電流)値の計測。

(      )mA

  • 電池性能データ(4回分)
開放電圧E〔V〕 端子電圧V〔V〕 抵抗R〔Ω〕

※各班で

内部抵抗

r=R[(E/V)-1]〔Ω〕

1  

 

2  

 

3  

 

4  

 

 

「考 察」

  • 銅板と亜鉛板の端を少し折り曲げておく理由は?
  • 電池概略図を描き、放電終了後の観察からわかることを考察しなさい。(電子やイオン移動など)
  • 放電の前後での亜鉛板・銅板の変化量から考察しなさい。
  • それぞれの金属板で移動した電子の量を物質量〔mol〕として求めなさい。

①亜鉛板の変化から:

  • 銅板の変化から:
  • ⑴を平均し、回路に流れた電気量〔C〕(クーロン)として算出しなさい。(電気量:Q = n(電子の量)×96485〔C〕)
  • 電気を流していた時間〔s〕から、回路に平均的に流れていた電流値I〔A〕を求めなさい。(Q=It)
  • 安定動作を確認後に流れる電流値と比較し、わかることを述べなさい。
  • 電池性能について考察しなさい
  • 開放電圧E・接続抵抗R・端子電圧Vの回路図を描きなさい。
  • 開放電圧E、端子電圧V、使用した抵抗Rから作成した電池の内部抵抗rを算出し、結果表に記入しなさい。
  • ダニエル電池の内部抵抗の主な要因について考察しなさい。

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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