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電解質溶液中での金属間の電圧を計測することで、各金属のおおよそのイオン化傾向を比較することができます。炭素棒を水素極として、金・銅・スズ・鉄・亜鉛・アルミニウム・マグネシウムを用いました。

「動 画」学生による操作

□簡易テスターを用いて計測

「解 説」

銀樹が生成するケースから硝酸銀水溶液に存在する銀イオンが銅から電子を受け取ることで、銅板上に単体銀となって析出が起こります。一方、銅は電子を失い酸化されることで、水溶液中に銅(Ⅱ)イオンとなって溶解し、

単体銀が析出します。

2Ag+ + Cu → 2Ag  + Cu2+

銀樹生成として知られる定番の化学変化ですが、実際には銅(Ⅰ)が生成するなど複雑な変化が起こるのですが、理解しやすい酸化還元反応の例となっています。水溶液中でイオンとなる傾向を単純に比較すると、銅>銀となって、その他の金属についても、一般的なイオン化列を考えることができます。

標準電極電位:半電池反応に関与する物質が、25℃ 1気圧においてその単極が標準水素電極に対して示す電極電位のことで、銀と銅の場合は、次の電極反応で表すことができます。

Ag+ + e = Ag + 0.799V_①EAg

Cu2+ + 2e = Cu + 0.340V_②ECu

①EAgと②ECuの比較で、銀イオンの方が単体に還元される電位がより大き]いことがわかります。

E = EAg – ECu = + 0.459 V

この数値 +0.459 Vを、二種類の金属間で構成される電池の起 電力とみなすこともできます。電池式は…

(-)Ag|Ag+|Cu2+|Cu(+)

基準となる水素電極についてですが、1気圧の水素ガスと平衡にある活量1の水素イオン水溶液に浸された白金板で、その標準電極電位が他の電極電位を測定する基準に設定され、0Vの値が与えられています。

2H+ + 2e = H2  + 0.0 V … 基準

イオン化傾向:金属によって陽イオンへのなりやすさが異なり、単体の金属原子が水溶液中で電子を放出して陽イオンになる性質を金属のイオン化傾向といいます。いくつかの金属板間で電圧を計測することで、おおまかなイオン化傾向の差を確認することができ、以下のように金属間でイオン化傾向を相対的に並べたものがイオン化列です。

 Li>K>Ca>Na>Mg>Al>Zn>Fe>Ni>Sn>Pb>[H2]>Cu>Hg>Ag>Pt>Au

ただし、これらはあくまで金属が水溶液に陽イオンとなるケースを基本としていて、電子を放出する際に必要なエネルギーであるイオン化エネルギーと同列に扱うことはできません。


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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