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コーラに牛乳を混ぜたら透明になるという現象です。海外で話題になり、日本でも有名ユーチューバーがこぞって追試をしたことがありました。コーラに含まれる酸味料とカラメル色素、牛乳のカゼイン粒子が関係していると思われます。

動画では、コーラに少量の牛乳を加えるという構図になっています。牛乳は多種多用な成分を含む混合水溶液ですが、ここで取り扱うのは、タンパク質の一種であるカゼインです。カゼインは、牛乳の脂肪を取り込み、ミセルコロイドとして安定して分散しています。親水性のカゼインは、疎水性の脂肪を取り囲む形になるので、保護コロイドの役割を果たしているという見方もできます。また、コーラには、酸味料としてクエン酸のような有機酸や色素としてカラメルが添加されています。特に、コーラ特有のあの黒に近い濃い茶褐色は、ドリンク界を代表する色と言っても良いのではないでしょうか。

さて、ミセルコロイド粒子となっているカゼインですが、熱や酸によってその安定が失われ、ゲル化することはよく知られています。特に、牛乳は、少量の酸(酢やレモン汁)で容易に成分を分離させることができ、沈降してきた固形物を濾して簡単なチーズを得る方法として紹介されることもあります。コーラに含まれる酸味料(成分表示としてクエン酸とある)によって、牛乳のカゼインが反応して、分離沈降してくることは容易に理解できます。また、コーラの色(カラメル色素)も同時に抜けて透明になるという件ですが、おそらくはゲル化するカゼイン粒子の表面に吸着されるのではないかと思います。カラメル色素は水溶性で、完全には透明にはなりませんが、ゲル化による粒子の表面積は大幅に拡大するので、色素の多くが取り込まれるのでしょう。

動画では、コーラのかわりに、ザラメ砂糖をカラメル化し、牛乳に溶かしてから、クエン酸粉末を添加しています。画像では、わかりにくいのですが、肉眼でははっきり色が抜けることが観察できました。


◇この現象は、ユーチューバーのヒカキンさんの関連動画でも話題になりました→『コーラに牛乳混ぜたら恐ろしいことになった!』(2014)


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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