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アニリンをジアゾ化しておき、フェノールとのカップリング反応で生成したアゾ染料で繊維を染色します。


実験プリント版

「実験理論」

  1. アミンのジアゾ化:アミンであるアニリンに希塩酸を加えてアニリン塩酸塩(塩酸アニリン)とし、これを氷水につけて冷却しながら亜硝酸ナトリウムNaNO3水溶液を少しずつ反応させると、塩化ベンゼンジアゾニウム C6H5N2Clを生じる。-N+≡Nを含む化合物を[ジアゾニウム ]化合物と呼び、ジアゾニウム塩を生じる反応をジアゾ化(diazotization)と呼ぶ。また、塩化ベンゼンジアゾニウムは非常に不安定な物質であり、常温ではフェノールと[窒素 ]に分解してしまう。そのため、低温に冷却して反応を進行させる必要がある。
  2. ジアゾカップリング反応:塩化ベンゼンジアゾニウムはフェノール類のアルカリ塩(フェノキシド)と容易に反応し、ジアゾ化合物をつくる。ジアゾ化合物は、分子内に[ジアゾ ]基を持ち、鮮やかな色を呈するものが多い。合成染料として利用されている化合物には、このアゾ化合物が少なくない。

「準 備」

亜硝酸ナトリウム1.0g 薬包紙 水酸化ナトリウム0.7 g 2-ナフトール0.5 g 染色用木綿布 三角フラスコ(50mL) アニリン0.5 mLと3 mol/L塩酸3 mL 氷冷水(200mLビーカー) 駒込ピペット(10 mL) 要の紙(新聞紙など) テープ

「操 作」

  1. 亜硝酸ナトリウム0gを薬包紙にとり、試験管に入れ、水10mLを加えて溶解させておく。→ A液
  2. 水酸化ナトリウム7 g をビーカーA(100mL用)に入れ、水10mLを加えガラス棒を用いて溶かす。さらに、2-ナフトール0.5gを加えて溶かす。 → B液
  3. B液に染色用木綿布を浸しておく。
  4. 三角フラスコ(50mL)に、アニリン5mLと3mol/L塩酸3mLを入れる。5mLの水を追加したのち、氷冷(200mLビーカーに氷を数個、水を加えて100mL)しておく。 → C液
  5. A液を駒込ピペット(10 mL)を用いて、氷冷されているC液にゆっくり滴下していく。温度が上昇しないようにビーカーを振り混ぜながら滴下する。
  6. A液を滴下したC液をB液に少しずつ注ぎ込む。ピンセットを用いて、生成した染料を布になじませる。
  7. 布を取り出して水洗いし、絞って不要の紙(新聞紙など)に挟んで乾燥させた後、実験NOTEにテープで貼り付けておく。

「工夫と注意・片付けなど」

  1. 駒込ピペットの先端を対象の溶液に浸けないこと。
  2. 染料で汚れた容器は、薄い塩酸で洗浄する。

「観察・結果」

  1. 各試薬の化学式(構造式)、結晶の形状や溶解の様子
  2. アニリンに塩酸を加えた際の様子
  3. 水溶液をアニリン塩酸塩に滴下した際の様子
  4. 染色布の様子(貼りつけ)

「考 察」

  1. 各操作における反応を化学反応式で表しなさい。物質は構造式で名称も記すこと。
  2. 操作2:2-ナフトールのナトリウム塩(フェノキシド)
  3. 操作3:アニリン塩酸塩(塩酸アニリン)の生成
  4. 操作4:亜硝酸ナトリウムによって塩化ベンゼンジアゾニウムが生成する。
  5. 塩化ベンゼンジアゾニウムとフェノキシドがカップリング反応を起こす。
  6. 操作3の反応も冷やしながら(5℃以下)操作する必要がある。その理由を反応式を用いて説明しなさい。

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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