UA-119493607-1 教材開発のコンセプト | らくらく理科教室
  • 都留文科大学の理科教育

理科教材開発の基本コンセプト

教材を工夫・創造することはなぜ必要か?

教科書や関連の資料には、教科の理解を助ける、いわゆる「教材」というものが当然のごとく掲載されています。また、もちろん書籍とともに、身の回りにも教材となる事物は数限りなく存在しています。しかし、私たちが何の疑問もなく「適切な教材」と思っていたものでも、児童・生徒に指導する側から考えると、ただそのまま用いただけでは実践上困難な場合が少なくないのです。

例えば、化学でよく実践されている炎色反応の観察の実験を考えてみましょう。教科書に掲載されている通りに実施するには、まず標準的な器具である白金線を用いることになるでしょう。しかし、白金線は、1本¥3000以上はしますから、各班(10班と教員の演示用1本)で新たにそろえると3万円以上もかかるのです。また、実験操作での炎色反応の観察自体は一瞬(0.5秒くらい?)で、別のイオンの溶液の作業に移るのにいちいち洗浄して使いまわし、観察はまた一瞬です。様々な金属イオンを同時には観察できないのです。あまりに一般的で単純だと思われている炎色反応の実験ですら、まったくもって非能率であり、コスト的にもかなり厳しいものなのです。しかも、一次的に備品として白金線を確保できたとしても、折れたりして消耗していきますから、予算が圧迫され、その実験か他の実験をあきらめざるを得ないようなことも多くなっていくのです。

この例のように、いくら教員に意欲があっても、教育課程、予算などの学校現場環境、児童生徒の実態によって困難に直面することも多く、それがそのまま理科教育の課題になっている現実があるのです。

そこで、次に示すように「綿棒をメタノールで湿らせて、丸めた粘土に立てて同時に着火させる工夫」を考えてみることにしましょう。まず、動画をご覧ください。動画では色の違いは見えにくいかもしれませんが、実際に実験をしてみるとかなりハッキリと観察できます。

使用した綿棒の価格は、200本組で99円でした。しかも5本同時に、メタノールにも助けられて数秒間は光を発し続けます。綿棒自体に含まれるイオンの影響もありますが、実験そのものの目的や児童生徒の充実感を考えれば、実践の意味は大きいのです。

この炎色反応における教材開発実践例のように、教材を工夫、あるいは創造していくことが、学校教員の現状を考える上でいかに重要かということがわかります。児童生徒の実態や学校現場の施設・設備・予算・組織等々を踏まえ、現実に基づいた教材を求めていく態度が大切なのです。本学の教材研究のコンセプトは、理科学習の狙いがあり、ではそれを達成するために現場にどのような課題があるかを認識することから始まります。情報を収集し素材を活用し、試行錯誤を繰り返しながら工夫と創造につなげていく。結果として理科教員としての実践力を向上させることにあるのです。