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「模擬授業_実践記録」2022.5.17

〇服装・保護メガネ・白衣準備等:連絡が徹底しない中での実践となってしまったが、実験の進行そのものはよく練られていて、比較的に順調に進行した。

〇実験の段取り:約40℃で保温する場面では、教員役があらかじめ準備しておいたビーカーに集約したのは良い判断だった。ベネディクト液は事前準備~加熱は各班での実施にいたる指導も適切だった。

〇安全対策:コンロの火の微調節は、慎重に指導すべきだった。危うく突沸を起こしそうになっていた班も複数あった。

〇指示:声もよく通っていて、指示は分かりやすかった。実験の進行状態のチェックや各班での個々の対応も丁寧だった。だ液のついた脱脂綿の処置やガス器具の収納などの配慮も的確であった。

〇実験プリント:結果のまとめ部分はもう少し工夫があってもよい。


「指導案例」学生による原案を掲載:一部省略

理科教育法指導案

日時      令和元年10月8日(火)5校時 16:30~18:00

場所      都留文科大学理科室

生徒      自然科学専攻2年生20名

指導者     都留文科大学2年 H

指導教員    山田暢司

「題材名」 生徒実験「唾液によるデンプンの変化」

「単元観」

動物の消化・吸収,呼吸,血液循環などの働きを物質交換の視点でとらえさせることを狙いとし、消化について動物には消化器官が備わっており,その働きによって,食物が物理的及び化学的に消化され,栄養分が吸収される仕組みを理解させることを目指す。

「題材の目標」

動物には消化器官が備わっており,その働きによって,食物が物理的及び化学的に消化され,栄養分が吸収される仕組みを実験によって確かめる。

「生徒の実態」

このクラスでは女子の学力がやや上位にあるが実験では男子が積極的で女子は観察に専念する傾向がみられる。そこで今回の実験では主に女子に実験操作を、男子に観察を担当させることで女子の実験技能の向上と男子の観察眼を養うことを目指す

「題材指導計画」 第2章動物の体のつくりと働き p96~104

(1)唾液によるデンプンの変化 導入1 本時1 まとめ1

(2)消化管と消化・消化の流れ 1

以上 計4時限

「評価基準」

知識・技能 思考・判断・表現力 主体的に学習に取り組む態度
・基本的な消化に関する知識が身についている

・各実験において学習課題を理解して、調べる為の工夫を行っている

・周囲の状況に配慮しながら適切かつ安全に実験に取り組んでいる。

・結果を適切に表現できている

・結果と考察を書き分けられている

・実験に積極的に取り組んでいる

・他者と言葉で協議し問題解決に取り組んでいる

「本時の目標」

実験から唾液によりデンプンが糖に変化することを確かめ、唾液中に消化酵素が存在することを学ぶ。

「本時の展開」

学習過程50分 学習活動 指導上の留意点
導入

5分

1.発問

『ヨウ素液とベネジクト液にそれぞれ反応するのは何ですか?』

→ デンプンと麦芽糖

1.手短に終わらせる
実験

30分

1.実験の目的;消化酵素の確認

2.実験操作の概要、注意点指導

①デンプン液の作成/唾液摂取/

試験管識別作業(A~D)/40℃のお湯の準備

②Aに唾液2㎖、Bに水2㎖

→A,Bにデンプン溶液10㎖

③40℃のお湯で5~10分温め、

A→C

B→D  に半分

④A,Bにヨウ素液

C,Dにベネジクト液と沸騰石

で加熱

3.生徒実験

①    グループ内の役割分担

②    机上整理・実験器具・試薬配布;準備完了次第開始

③    実験室内巡視;火気使用・観察事項

④    実験操作終了の指示

4.観察記録の確認

5.考察・協議・意見交換

1.唾液にアミラーゼが含まれることは明らかにしておく

①デンプンが溶け残るときはレンジで30秒加熱する。

②スポイトは唾液と水で使い分け絶対に混ざらないようにする。摂取した唾液は流しに捨て、ビーカーとスポイトも洗い割り箸と脱脂綿は捨てる

③温めている間は温度計で温度を測っておく。別の試験管に移すときも混ざらないように注意する。

④ベネジクト液には銅が含まれているので取り扱いに注意する。

火を扱うときは周りを片付ける。

①    操作員と観察員を分ける。

②    教員が机上に準備したものを生徒がとりに来る形式

③    進行状況把握;生徒の衣服や椅子、机上の整理状況にも注意

気づいたことは全体に向けて指導する。

4.操作担当は記録を十分に取れていないことがあるので記録担当に指示

5.監察結果をグループ内で協議しまとめていくことが望ましい

まとめ、評価、片付け

5分

1.実験結果発表

2.まとめ・反省点

3.片づけ指示

1. 一定の結論に誘導する

2.実験全体の評価として反省点を上げる。プリントの記入が疎かになっている生徒がいないか注意

3.洗浄・廃棄・机上整理・火気等最終確認;ベネジクト液には銅が含まれているので流しに捨てず容器に回収する。

参考・引用

学習指導要領(文科省)


「実験プリント」

唾液によるでんぷんの変化

年  組  名前

《目的》

実験から唾液によりデンプンがとうに変化することを確かめ、唾液中に消化酵素が

存在することを学ぶ

《準備物》

ビーカー(小)2つ、、デンプン溶液(水30㎤にデンプン0.1g)、ガラス棒、脱脂綿、割り箸、試験管4本(A~D)、テープ、はさみ、スポイト2本、約40℃の湯、ビーカー(大)、温度計、ヨウ素液、ベネジクト液、試験管ばさみ、沸騰石、ガスバーナー、

《手順》

1.口をよく濯いでから脱脂綿を口に入れ5分後に水10㎤を入れたビーカー(小)に

脱脂綿を入れよく混ぜる。(唾液の摂取)

2.4本の試験管をテープで作業別に色分けし、マジックで記号(A~D)を付ける。

3.試験管A,Bにデンプン溶液を10㎤入れ、その後Aにはスポイトで唾液2㎤をBには別のスポイトで水2㎤を加える。

4.試験管A,Bを約40℃の湯に入れ、10分保温する。

5. 試験管Aの液の半分を試験管Cに、試験管Bの液の半分をDに取り分ける。

6. 試験管A,Bにヨウ素液を4滴加える。

7. 試験管C,Dにはベネジクト液を加え、沸騰石を入れガスバーナーで加熱する。

《メモ》

《結果》

デンプン+唾液 デンプン+水
ヨウ素液
ベネジクト液

《まとめ》

唾液には(   )を(     )に分解する(      )が含まれており(  )℃に近い温度でよく働くようになる。

(  )℃付近で活発にはたらくようになるのは(    )に近い温度だからである。

《感想》


理教法_教材研究_実験プリント例

「表 題」

デンプンの構造と加水分解

「目 的」

デンプンが酵素や酸により加水分解される過程をヨウ素デンプン反応の呈色反応の変化によって確認する。

「概 要」

  1. デンプンは多糖類:デンプンは、たくさんの単糖類であるグルコースが、α-1,4(または1,6)グリコシド結合により多数結合した多糖類であり、分子量が数万~数百万となる高分子化合物である。特に、α-1,4グリコシド結合によって、らせん構造をとっているものを[ アミロース ]といい、[ 6 ]個のグルコースでちょうど1巻する形になっている。このらせん構造の内部に、ヨウ素[分子 ]が並ぶことによる呈色反応が、ヨウ素デンプン反応である。かなり鋭敏な反応で、デンプンの検出や[ 酸化還元 ]反応で扱うことも多い。
  2. デンプンは[触媒  ](酸や酵素)によって分解され、単糖類のグルコースに分解される。写真は、デンプンに4 mol/L硫酸を加えて加熱(85℃)することで、次第にヨウ素デンプン反応が弱まり、5-6分で完全に反応が見られなくなる様子を示している。デンプンを構成しているグリコシド結合が、酸による[加水 ]分解を受けて、アミロース構造が壊れていくことがわかる。ヨウ素デンプン反応は示さなくなるが、生成する単糖類のグルコースは、還元性を示すため、[ フェーリング  ]反応等により、その生成を確認することができる。また、酵素(アミラーゼ)を用いても同様の反応が起こるが、硫酸(4 mol/L・85℃)よりもはるかにマイルドな条件でも強烈に作用し、同濃度のデンプンの分解に要する時間は半分以下である。ただし、体温に近い条件下である必要があり、40℃を超えると酵素[ 活性 ]は失われ復活しなくなる。

「準 備」

レーザー 加熱器 駒込ピペット 調整済みのヨウ素溶液(0.05mol/L) 試験管4(A~D) 0.5%デンプン溶液100mL(溶性デンプン粉0.5g+水100mL) 温度計 三角フラスコ(200 mL) タカジア錠剤

「操 作」

  1. 三角フラスコ(200 mL)に5%のデンプン水溶液100 mLを調製する。
  2. 85℃まで加熱後、約40℃まで放冷する。
  3. デンプン水溶液にレーザーを照射してその様子を観察する。
  4. デンプン水溶液にヨウ素液を適量加えて様子を観察する。
  5. デンプン水溶液を5 mLずつ4本の試験管(A・B・C・D)にとり分ける。
  6. 試験管Bにタカジア錠剤1/2を加える。
  7. 試験管Cを再加熱(70℃程度)して様子を観察する。
  8. 試験管Dに残りのタカジア錠1/2を加え、様子を観察する。

「注意事項」

  1. デンプン水溶液の加熱時は軽くかくはんして、焦げ付かないようにする。
  2. デンプン水溶液の放冷では、温度を下げ過ぎないようにする。必要に応じて、再加熱する。

「操作記録・観察・考察」

・操作~観察からわかることをまとめて記載すること

  1. 三角フラスコ加熱時~レーザー照射

・デンプン(かたくり粉)は、[冷  ]水に溶けにくく[白  ]濁している。加熱すると[透明  ]化。放冷後使用。

・溶液は[コロイド ]:[チンダル ]現象

  1. 試験管A

・アミロース構造

・ヨウ素デンプン反応:ヨウ素液I2-KI I2[分子  ]がアミロース内部に並び青紫色を呈する鋭敏な反応。

・デンプンの種類により色合いが異なる:アミロ[ペクチン  ](もち米など)では赤紫色

  1. 試験管B

・錠剤に含まれる成分がデンプンを加水分解:[  段階]的に分解が進行するのでヨウ素デンプン反応が鈍くなっていく。

・単糖類のグルコースが生成:グルコース:[還 ]元性あり フェーリング反応・[銀  ]鏡反応

・タカジア錠剤([高峰  ]譲吉が発見して命名したタカジアスターゼに由来:ジアスターゼはアミラーゼの一種)

  1. 試験管C

・加熱によりデンプン鎖が緩み、ヨウ素分子が外れて呈色反応を示さなくなる。(約[ 60 ]℃以上)

・冷えると再び呈色反応を示すようになる。

  1. 試験管D

・酵素アミラーゼはタンパク質:40℃以上で変性し酵素[活  ]性が失われて復活しない。失活

  1. 教科書の「だ液のはたらき」との関連について

・アミラーゼは体内で作用する[消化 ]酵素の一種 糖類の分解に関与


コメント一覧

返信2022年5月17日 4:17 PM

山岸24/

山岸 ベネジクト液がうまく赤褐色に変化しなかったが、考えられる理由を説明して糖に変化したことを伝えていてよかったと思う。 デンプン溶液を授業の前に作ってあったのは、中学校の授業を想定していてよかった。 沸騰石を取り忘れたのに優しかった。

返信2022年5月17日 4:15 PM

3班24/

用具を始めに説明していてスムーズに進むことができていてよかった。 試験管ばさみなどの説明し忘れが目立った。 空き時間(保温の時間)を利用して考える時間にしていてよかったと思う。

返信2022年5月17日 4:14 PM

4班24/

・実験の準備が少し足りなかった。実験中に出すものがあり、実験の最初にもう少し指示があればよかった。 ・実験の操作中に指示があり、指示が聞きにくかった。 ・失敗してしまった場合の対処として、色の変化がわかるものを用意する必要があった気がする。

返信2022年5月17日 4:13 PM

2班24/

板書の「な」の字が気になった まとめの確認ができていなかった 指導の手順があやふやになっていたところがあった

返信2022年5月17日 4:12 PM

2班24/

板書「な」の字が気になった。 まとめの確認ができてなかった。 指導の手順があやふやになっていた。

返信2022年5月17日 4:12 PM

匿名24/

5班 今回に関しては唾液の量が特に定まっていなかったことから、水→唾液の順で作業すればピペットが1本で足りるのではないか。 用具の出し入れが多くなっていたので最初によりまとめて出すことが出来るとなお良い! 変に予想する時間を作るのではなく、待ち時間を有効活用して予想ができたのがよかった。

返信2019年11月5日 5:17 PM

さいえんすヨージ24/

グループ実験としては、難度が高いテーマだったが、難なく進行させていた。初回から好スタートで、後に続く人にはプレッシャーになるだろうな。

返信2019年10月9日 2:19 PM

さいえんすヨージ24/

体積の単位 2㎖ → mL ですね。

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