ビニールチューブ内に水素と酸素を注入し、圧電素子でスパーク!安全に操作できる装置をつくって実践。
「動 画」実践記録
「解 説」
安全性の高い装置:爆鳴気体(水素・酸素)の点火事故が数多く報告され、実験には細心の注意を払う必要があります。紹介する装置は、ビニールチューブを用いて爆発の衝撃を吸収しやすく、点火部分も少し工夫されています。特にゴム栓部分は側面4方向からピンを通し、安全性の高いものとなっています。かつて、針金を通してぐるぐる巻きにするタイプもよく見られましたが、針金の劣化により、ゴム栓が外れることがありました。工作の手間もあったので、このピンを側面から通す方法を推奨します。実践の失敗事例として最も多いのは、ゴム栓外部(上面)に水が残っていて、そこで放電が起こってしまうケースです。放電前にゴム栓上面の水をふき取っておくと良いでしょう。
単体から化合物:水素と酸素から水という化合物が生成するシンプルな反応ですが、大きな音と光、振動も伴う迫力のある実験となります。
2H2 + O2 → 2H2O
発火装置により一気に化合しますが、生成する水はわずかであって、水槽の水に吸収されてしまうことには注意が必要です。反応後、ビニールチューブ内に水が蓄えられることで、その水が反応によって生成したものであると勘違いしてしまう生徒もいます。なお、他に得られる学習情報も豊富で、例えば水素が詰まっているボンベを手にすると、とにかく軽いということに気づきます。ついつい耳元でボンベを振って「何も入ってないのでは?」と思ってしまいがち。また、反応後に気体が残れば、どちらかの気体が過剰であったのだろうと、容易に納得させることもできるでしょう。さらに、単体は安定した存在ですが、ひとたびエネルギーを与えられると文字通り爆発的に反応が進行します。反応速度という観点からも学習を深めることができる教材となります。
<学生模擬授用_資料>
◇指導案_略案_2年_単元3「金属以外の物質の酸化」
<指導案:2年_単元3「金属以外の物質の酸化」p54->
【本時の展開】
学習過程全50分 | 学習活動 | 指導上の留意点 |
導 入
5分 |
1.水素と酸素についてどのような性質があるかを振り返る。
2.今回の実験の内容を聞く。 |
1.爆鳴器に時間を費やしたいため端的に性質をまとめる。 |
展 開
40分 |
1.材料を教卓に取りに来る。2.実験プリントを見ながら作成する。
3.演示実験の観察 電圧ライターをONする。 どんな現象が起きたか確認する。 4.片付けをする。 |
1.材料がたくさんあり、1つずつ持って行くと時間がかかるのであらかじめトレイに入れて持って行かせる。
2.机間巡視をしながら生徒から出た質問を聞き、全体に聞こえるように口頭で説明を付け加える。 3.演示実験 感電しないか細心の注意を払わせる。もし、できない場合はクリップのL字の部分に水滴が付いていないか確認する。 4.圧電式ライターの取り扱いに注意させる。 |
まとめ
5分 |
1.発問:『どのような現象が起こったか。何が分からなかったか。
2.本時の評価をさせる 3.追加の指示があれば従う |
1.爆鳴器の実験の振り返りをさせる。
2.課題だと感じたり、良い点と思った点を述べておく。 3.次回の授業の予告・誘導など |
〇酸素の性質・水に溶けにくい・ものを燃やすはたらきがある。
〇水素の性質 ・最も軽い気体 ・水に溶けにくい 2H₂+O₂ = 2H₂O + Q |
【板書計画】
【実験プリント】
実験:酸素と水素を用いた安全爆鳴気 教科書p54
実施日時: 天候 気温
年 組 番 班 氏名
爆鳴器の装置図 |
「実験目的」金属以外の物質が酸化したらどうなるのか考える。また、水素が酸素と化合したらどのような変化が起こったのかを考える。
「準 備」
透明ビニールチューブ(内径18 mm×長さ400 mm)、ゴム栓(5号)、クリップ2本、画鋲、スタンド、ガスボンベ(水素・酸素)、圧電式ライター、みのむしリード線2本
「実験操作」1班3-4人想定
→爆鳴器の完成
→外側から突くようにして衝撃を与えると水滴が落ちやすい。
2.圧電式ライターを着火する。
・チューブの下部を手で保持しても良いが、安全為に爆鳴器には顔を近づけないこと。
・実験を繰り返し行う場合は、ゴム栓がピンでしっかり固定されていることを確認する。
・安全めがねを必ずつけること。
3.観察と実験結果のまとめ:班内で確認してプリントに記入
水は、水道に流してよい。
圧電式ライターは感電しないようにクリップから外し前の教卓へ持ってくる。
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。