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水溶液が青色になったり赤褐色になったりが数秒間隔で繰り返されます。一方的に完結してしまう化学反応ではなく、化学平衡を保ちながらの自然な反応パターンとなっています。

「動 画」

□色変化がまるで生命活動のように見えてきます。

「動画」ICT活用事例:酸化還元電位の振動をモニター

□周期的な酸化還元反応をモニター

「動 画」思わぬところでBZ反応の画像が引用→マツコの知らない世界

□まるでバームクーヘンの縞模様のようで…というノリで紹介されただけの画像。振動反応とは無関係の引用でした。

「解 説」

色の変化が繰り返される:水溶液が数秒間隔で青⇄赤褐色の変化を繰り返し、シャーレ内に薄い層を作らせると絶妙な色の縞模様が現れます。縞模様は広がるように成長していき、化学反応がシーソーのように左右に大きく触れながら振動していく様子がイメージできます。この自発的なリズムを作り出す複雑な化学反応は、6種類の物質が関わる10以上の反応が同時に進行しています。特に重要な反応は、臭素酸がマロン酸を酸化する反応です。

2BrO3–  +  3CH2(COOH)+  2H+ →  2BrCH(COOH)+  4H2O + 3CO2

二種類の鉄イオン錯体が関与:この反応過程では二種類の鉄イオン(Fe2+ ⇄ Fe3+)の酸化還元反応が目まぐるしく起こり、それぞれの鉄イオンがo-フェナントロリン3分子と錯体をつくり、別の色(赤と青)を呈することによります。

[Fe(C12H8N2)3]2+ ⇄ [Fe(C12H8N2)3]3+ + e

還元型(赤色)    酸化型(青色)

フェロイン     フェリイン

ただし、これらの錯体は反応の前後で完全に変化しきってしまうのではなく、電子の受け渡しの媒体に過ぎない触媒としての役割をするのみです。他にBr や HBrO2 なども、電子の受け渡しに関与しながら全体の反応式上には現れない物質、それぞれが複数の反応で消費されたり自己増殖したりと絶妙なバランスの上に反応が進行していくのです。なお、動画では、この振動反応を酸化還元を伴うものとしてとらえ、その電圧の変化をモニターしています。

BZ(ベローゾフ・ジャボチンスキー反応)反応:この振動反応は、ソ連のBelousov(ベロウソフ)が1951年に発見し、その後同じくソ連のZhabotinsky(ジャボチンスキー)が実験の追試を行い、化学反応のリズムが明瞭な形で現れる実験系を確立しています。もともと生物のエネルギー代謝に関わる重要な反応であるクエン酸回路の研究がスタートで、体内で有機酸がどのような触媒で酸化されていくかを研究している過程で発見されたものです。また、リズムやパターンが自発的に作り出される化学振動は、水面にできるような液面が上下する振動ではなく液面は水平のままで化学反応のみが模様をつくりながら伝わっていきます。なお、通常の波のように液面を上下して干渉し合うことがなく、波同士が衝突すると互いに消失してしまいます。呼吸や心臓の鼓動、神経パルスにも似通っていて大変興味深いものです。


◇タイトル:振動反応_ベローゾフ・ジャボチンスキー反応の観察

◇サブタイトル:振動反応に感動!

◇監修映像: Yahoo!映像トピックス『美しすぎる化学』BZ反応


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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