牛乳とレモン汁を用いた簡単なチーズ作り。コロイドの塩析(※)という現象を利用したものですが、その製造法の歴史は古く、醍醐味という言葉もこのチーズの醸し出す独特の風味・触感が語源だそうです。
※水分子と親和性の高い親水コロイドが、大量の電解質によって凝集してしまうことを塩析と呼ぶことが多いのですが、酸の添加や熱による変質も結果的に静電気的な影響を伴うので広い意味で塩析とされています。
「実験タイトル」牛乳からチーズを作る
「サブタイトル」はい、生チーズ!
「学習項目」タンパク質 カゼイン 保護コロイド 塩析
「準備物」「操作」WEB非公開
「注意事項」
「解 説」
1.牛乳はコロイド溶液
牛乳は、約90%近くが水で、残りは乳脂肪やタンパク質、糖、ミネラル等の様々な物質から成る溶液です。それぞれの成分は一定の大きさを持ってはいますが肉眼では見ることができません。かといって、原子やイオンほど小さくもなく、まあほどほどの小ささの粒子と考えて下さい。これらの一定の大きさを持つ粒子をコロイド粒子といい、その溶液をコロイド溶液と呼んでいます。牛乳は様々な成分が溶けているコロイド溶液ですが、特に牛乳に含まれるタンパク質のカゼインという成分が水に溶けにくい(疎水性)脂肪を取り囲んでコロイドを安定させる「保護コロイド」という役割を果たしています。カゼインによってできるこの粒子は、ミセルとも呼ばれます。(図●:親水部 -:疎水部)
2.牛乳からチーズ
一般的なチーズ作りでは、この固形物をカビによる発酵やロウでコーティングしたり薫製にするなど、長期保存ができるような処理を施しています。しかし、酸で固形物を得て焼いて食することも広い意味でのチーズ作りで、古くから栄養価の高い食品作りとして世界中で行われてきた方法でもあります。その起源は、紀元前4000年頃と言われ、ホメロスの『オデッセイア』にもその記述があるらしく、日本でもすでに飛鳥時代には「蘇(そ)」や「醍醐(だいご)」という名称でチーズが作られていたそうです。特に現在でも使われる「醍醐味」という言葉も…
…省略…
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。