UA-119493607-1 燃料電池教材 | らくらく理科教室
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タッパ式の小型燃料電池の試作品:もとは野曽原先生の「簡易燃料電池」で、プラスチック板で押さえて電極間を狭く、セルロース膜を用いるなどして、内部抵抗を抑制する工夫をしました。出力も十分で教材としてはかなり良い出来だと思います。

「動画」授業実践・工作編:操作方法は少しバージョンアップしました

「動画」工作編:プラスチック板に穴を空ける作業は大変なので、代わりに鉢底用の網を用いた簡素版での操作編。

「動画」実験講習会:新潟県の記録

「動画」完成した電池セルから装置を組み立てるところからの操作記録版


実験プリント版

「目 的」

水素-酸素(空気)形燃料電池教材の作成と内部抵抗の測定を通じ、電池反応のメカニズムと電子性能の考え方を理解する。

「実験理論」

1.反応原理

アルカリ性(OH)の電解液のもとイオン伝導を利用している

負極:水素が電子を放出する。 (-) H2 + 2OH→ 2H2O + 2e-  

正極:空気中の酸素が電子を受取る。 (+) 1/2O2 + H2O + 2e→ 2OH

全体:生成物は水のみ H2 + 1/2O2  → H2O    水素を燃料として供給し続ければ電池として機能するので[燃料 ]電池

2.電池としての機能:燃料電池の理論電圧Vは、正極と負極のそれぞれの標準電極電位の差E =E(+) E(-) から求まる。(-)H2 + 2OH= 2H2O + 2e   E(-) = -0.829V

(+)1/2O2 + H2O + 2e→ 2OH E(+) = +0.401V

理論電圧 E =E(+)E(-)

=0.401-(-0.829)=[1.23 ]V

3.特徴:[熱 ]の発生が抑えられ、電気エネルギーへの変換効率は極めて高く、約[83  ]%にも達する。

(1)エネルギーの[制御 ]が容易で、音や振動を生じない。生成物は水のみで、[排気 ]・[冷却 ]システムも基本的に不要。装置全体の省力・[小 ]型化が容易で移動も容易。

(2)電池セルの構成がシンプルで金属電極は消耗[しない ]。金属電極自身は、化学変化せず、電極表面で起こる化学反応の速度を高めるだけの役割を果たす。特に、金属表面には金やパラジウムのような[触媒 ]が活性を高める。

(3)化石燃料の代替エネルギーとして有望。太陽光や風力、水力などのいわゆる[自然 ]エネルギーは、施設導入・維持コストが[高 ]い割に、効率が[低 ]く[不安定 ]である。

(4)課題は[触媒 ]となる貴金属、特にレアメタル(レアアース)呼ばれる高価な金属を海外からの輸入に依存していること。しかし、燃料電池は、その技術の進展によって、開発コストの低減化が急速に図られている。

「準 備」

L三角フラスコ 塩化パラジウム PdCl2 130 g  濃塩酸4.6 mL タッパ(64×89×41 mm:ダイソー製) プラ製鉢底網(54×78 mm :ダイソー製)3枚 油性サインペン カッター はさみ電解質膜 セルロースチューブ(68×92 mm) 水酸化カリウムKOH 純水 200 mL三角フラスコ メモリ付きゴムボード Ni金網(200 mesh,φ=0.05 m/m:真鍋工業製) リード線 1mo塩酸100mL アスコルビン酸1 g バット 洗ビン 300 mLビーカー 単三乾電池2本 炭素棒 割りばし ビニールテープ スターラー 輪ゴム2 テスター 駒込ピペット 手袋 アルミホイル小片 外部抵抗(例えば50Ωなど) ソーラーモータ

「操 作」(一部のみ)

※2人1組作業:ニッケル電極は2個分を作成することができる。

1.パラジウムメッキ液の調製:50 mL三角フラスコに塩化パラジウム PdCl2 130 g 精秤し、濃塩酸4.6 mLを加えて栓をする。 → 換気しながら操作・塩化パラジウムが完全に溶解すると茶褐色透明溶液となるが、これには10分以上を要する。

2.タッパ容器等の準備

  • タッパ(64×89×41 mm)を準備する・
  • 押さえ板の作成:プラ製鉢底網54×78 mm 3枚を切り出す。角を丸めて、タッパのふたに合う確認しておく。
  • タッパのふたの窓の切り抜き:窓(40×60 mm:タッパの枠から10 mm程度)をサインペンで下書きしておき、カッター等切り抜く。
  • タッパ側面への水素供給のための穴あけ: 水素供給管のサイズに合わせた小穴を開けておく。カッターとはさみを使うと良い。
  • 電解質膜:セルロースチューブ(68×92 mm)を切り出しておく。
  • 5 mol/L KOH調製:試験管に水酸化カリウムKOH 1 gを入れ、純水を加え全体を5 mLとしておく。
  • 75 mol/L KOH調製:200 mL三角フラスコに水酸化カリウムKOH 2 g入れ、純水を加え全体を50 mLとしておく。

 

3.ニッケルNi金網の切り出し

メモリ付きゴムボード上にNi金網(200 mesh,φ=0.05 m/m:真鍋工業製)を置き、油性サインペンで印を付ける。長方形(50×70 mm)を4枚分、ただしそれぞれの長方形の短辺側に2 mmの引き出し線を作っておく。→実質的には各48×70 mmとなる。

Ni金網をはさみで切り出し、短編側の片方のみ、長辺側2 mmの引き出し線を切り出しておく。 → リード線接続用(図参照)

表面処理(この操作は省略可)

1mol/L塩酸100mLにアスコルビン酸1 gを溶解させバットに注いでおく。そこにニッケルNi金網を入れて数分間浸し表面処理(酸化被膜を除く)を行う。

表面処理後、バットの処理液を捨て、そのまま金網に洗ビンから純水をあてて洗い流す。さらに純水を加え、ニッケル金網をバットの純水中に置く。

4.パラジウムPdメッキ

ニッケル網を300 mLビーカー側壁に配置し、引き出し線を上方に引き上げて洗濯ばさみで留めておく。

単三乾電池2本(直列)のリード線(-)をニッケル網の引き出し線部分に、(+)は炭素棒に接続。 → 炭素棒は割りばしにテープで固定し、ビーカー上部に備え付ける。

純水約200 mLを先に注ぎ込み、スターラー上に置いて軽く作動させておく。

三角フラスコ中に溶解(完全に溶解して茶褐色透明になっていることを確認)させておいた塩化パラジウムPdCl2 塩酸溶液を注ぎ込む。フラスコ内壁も純水でよく洗い流し、メッキ浴の体積が300 mLになるまで純水を加える。

メッキ浴の水溶液の色が茶褐色からほぼ透明になるまで約10分を要する。

リード線と炭素棒を外す。

ニッケル金網はそのままで、メッキ溶液を別容器に廃棄する。

洗ビン(純水)を用いてビーカー内のニッケル金網をよく洗う。

ニッケル金網をバットに取り出し、4枚にカットする。さらに残り3枚分の切り出し線も作っておく。

(その他の操作 省略)

「注 意」

  1. 水酸化カリウムの取り扱いに注意する。水道水を少し流しておき、濡れ雑巾も準備しておくとよい。
  2. 引き出し線が切断しないようやさしく取り扱う。
  3. 水酸化カリウム 水道水を少し流しておき濡れ雑巾も準備しておく。

「観察・結果」

  1. 塩化パラジウム水溶液と電解メッキの様子 メッキ液の構成:PdCl2 0.13 g濃塩酸 HCl 4.6 mLを300 mLにした。→ [Pd2+]=2.5×10-3 mol/L,[HCl]=0.50 mol/L
  2. 実験装置・操作図など
  3. モータを接続し放電した際の様子
  4. 電池性能に関するデータ記入:ただし、開放電圧Eの電池に抵抗Rをつないで実際に電流を流した時にかかる内部抵抗rは、r=R(E/V)-1で表すことができる。測定のための回路図(E・V・Rの関係図)

【電池性能データ】

開放電圧E〔V〕 端子電圧V〔V〕 抵抗R〔Ω〕 内部抵抗r〔Ω〕
1  

 

2  

 

3  

 

4  

 

 

「工夫と注意・片付けなど」

  • 実験終了後、電池セルは解体してよく水洗いしたのち、特に電極はアセトンで洗浄・乾燥させて保管する。

「考 察」

  1. 電位性能測定に関わる回路図(E・V・Rの関係図)に内部抵抗rを加えたものを書きなさい。
  2. パラジウムはどのような役割を果たしたか説明しなさい。
  3. 電池としての機能について
  4. 2molの電子の移動による電気量Q〔C〕を求めなさい。
  5. 060gの水素がある。この水素がすべて電池反応に関わったとして、放出できる電気量を算出しなさい。
  6. 安定的に点灯させるのに02Aの電流を流し続けることが必要な電球がある。0.060gの水素を燃料とした場合、この電球を何時間点灯させることが可能か計算しなさい。
  7. 次世代のエネルギー源としての燃料電池について、その長所と短所を箇条書きで述べなさい。(一般的な鉛蓄電池や乾電池、他の電力源と比較して)

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。


コメント一覧

返信2019年11月12日 7:36 AM

実験講習会:新潟県191111 | らくらく理科教室25/

[…] 実験内容の詳細 → 水素形燃料電池教材をつくる […]

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