• 教材や実験の開発情報

上から液体をぽたぽた滴下すると、宝石のようなカプセルが次々と誕生します。魚卵エキスを混ぜ込むことができたらしいことから、一般名称も「いくらカプセル」に落ち着いた感があります。

「動 画」食紅でカラフルに

□プセルの形状は、アルギン酸ナトリウム水溶液の粘性や滴下の高さに影響するようです。

「動 画」少し大きめサイズの作り方

□底の深めのスプーンを使うと操作しやすい


「解 説」

不溶性の膜が生成する:最近の食品の中には生鮮食品をまねた、いわゆるコピー食品が多く見られるようになりました。かつて話題となった「人造イクラ」も、これに近い方法でカプセル中にエキスを封入して作られていたようです。材料のアルギン酸ナトリウムは、分子内の-COOH(カルボキシル基)のH部がナトリウムイオンと交換されたもので、水溶液中で高い粘性を示します。このカルボキシ基部は、マグネシウムイオンやカルシウムイオンなどの多価イオンとも強く結合し、水に不溶なゲル化皮膜を作ります。

浸透圧の実験にも:生成した膜は動植物の細胞同様、水分子やイオンのような小さな粒子の出入が可能な半透性を示すため、内部に大きな粒子を含む液を封入すると、外部溶液との間に浸透圧を生じます。いわゆる「膨潤状態」となるために、あの独特な触感(食感)が得られるのです。生物系の浸透圧の実験では半透性のセロハン紙を用いることもありますが、定性的な演示効果という点ではこのイクラカプセルも魅力的です。高濃度のショ糖液中に浸すと、カプセル内部の水分がショ糖液側に移動して、カプセルが収縮してくる様子が観察できるというのもです。

生命誕生の鍵を握る?:コピー食品や増粘多糖類として活躍中の素材ですが、実はこの物質、生命誕生の鍵を握っているのではないかとも考えられています。それは、太古の昔、希有な条件が重なり淡水下で濃縮された分子群が、カルシウムイオンの存在する海水と接触し、細胞膜の原型を生成したのではないかというものです。確かに希薄な海水よりも、限定された膜構造の中で種々のタンパク質が形成され、生命としての連続性が生まれたというアイディアには注目したいものです。


「材 料」

◇アルギン酸ナトリウム:粉末


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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