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ガラス棒を近づけると「綿」が爆発的に燃えます。マジック的な要素のある演示実験で、事前にニトロ化した綿を使用しています。

130~160℃程度で容易に着火します。激しい燃焼反応のため、ほとんど燃えカスが残らないのも特徴です。綿の主成分は、天然高分子化合物であるセルロースです。これを混酸によって分子内のヒドロキシ基をニトロ化してできるのがニトロセルロースで、一般に綿火薬とも呼ばれているものです。反応の強度によってニトロ化率が影響を受けますが、あくまで演示のための材料なので、あまりに反応条件を高くすることは危険ですのでお勧めできません。また、生成したニトロセルロースは、着火・引火しないように、封をしたビン中(長期は水中)に保管するようにします。

実験としては。雪だるまかスノーマンのようなキャラを意識して、マジックスティックによってそれらが消えるという演示もよく実施されています。しかし、爆発力が意外に大きいため、注意が必要です。

「動 画」綿火薬の製法とそれを用いた実験

綿火薬の製法ですが、実験環境の整った教育機関で実施してください。混酸の調製では、温度が上がり過ぎないよう冷却しながら混ぜ合わせます。また、発煙するので十分な換気が必要です。脱脂綿を混酸に浸けて数日、酸を流水で取り除き、完全に乾燥した状態で実験に用います。(保管は先述のとおり)

演示実験では、ニトロ化した綿に金属塩を混入させた炎色反応や、金属板上でマッチと着火温度の差違を意識するものを紹介しています。また、銅線と鉄線の先に綿火薬を括りつけて、加熱したらどちらが先に燃えるかという演示も効果的です。銅線の先端への熱伝播が早く、先に着火温度に達するので銅の熱伝導性が高いといくことを示すことができるわけです。


◇このブログで発信している実験は、取扱いに注意を要する試薬・器具も含まれています。また、操作自体に一定のスキルを要しますので、記事や映像を見ただけで実験することのないようにお願いします。実験の詳細の多くは、特に次の3書で紹介していますので参考になさってください。

  


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