UA-119493607-1 伸びていく昆布?トラウベの人工細胞 | らくらく理科教室
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水色の溶液の中に、昆布のような物体がみるみる成長していきます。生き物ではなく、金属イオンの反応によって半透膜ができ、それが成長していくというものです。

硫酸銅水溶液にヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウムの結晶を投入すると、銅(Ⅱ)イオンと鉄(Ⅱ)イオンが反応し、ゲル状のヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸銅 Cu2[Fe(CN)6] が生成します。

2Cu2+ + [Fe(CN)6]4- → Cu2[Fe(CN)6]

この物質は、半透性の膜として結晶を包み込むように形成されますが、結晶付近の濃度が高いので、周囲の水が膜内部に浸透してくるのです。膜内部の内圧が高まると、比較的水圧の弱い膜上部が破れてしまいます。するとヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸イオン [Fe(CN)6]4- が銅(Ⅱ)イオン Cu2+ と反応し、また半透性の膜を形成します。しかし、浸透圧の高い膜内部の内圧が耐えられなくなると、上部が破れ、ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸イオンが流出、銅(Ⅱ)イオンと反応…を繰り返すことになります。結果として、半透性の膜が上方に向かって成長していくことになるのです。銅イオンの青色を背景にしてやや黄色味のある物体が伸びていくので、まるで海中の昆布のようなイメージです。

濃度にもよりますが、肉眼でその成長が観察できるくらいの速度で成長し、数分でかなりの高さまで伸びていきます。また、硫酸銅の代わりに、硫酸ニッケルを用いても同様な現象を観察することができます。

なお、トラウベの人工細胞の名称は、この現象を発見したドイツの化学者Moriz. Traubeに由来します。


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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