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油脂が水面で単分子膜を作る性質を利用して、アボガドロ定数や油脂の分子1個当たりの占める面積などを求めることができます。

「動 画」墨流しに準じて方眼紙を用いる

□墨汁が外側に追いやられたところを方眼紙で写しとって、広がった油脂の単分子膜のおおよその面積を求める実験です。

「解 説」

アボガドロ定数や物質量、分子の大きさ等の計算に活用:油脂が水面で単分子膜を作る性質を利用すると、油脂の分子1個当たりの占める面積などを求めることができます。墨汁が外側に追いやられたところを方眼紙で写しとれば、広がった油脂の単分子膜の面積を求めることができるのです。

広がった油脂の単分子膜の面積を S cm2、水面に並ぶ分子の個数をNとするとS =  sN_①。また、分子量Mの油脂 m gを V mLのメスフラスコに入れて調整した場合の油脂溶液の濃度Cは、C = (m/M)/(V/1000)mol/L_②。その油脂溶液1滴(v mL)に含まれる油脂の物質量 n は、n = C×(v/1000)_③。さらに、アボガドロ定数をNAするとn×NA=N_④なので、①~④を整理すると、油脂1分子が占める面積 s が算出されます。

s=SVM/mv’ NA〔㎝2

(実験では50-100滴単位で全体量を出してから算出すると便利で、仮にx滴でy mLになったとすれば、1滴の体積 v’ は、 v’ = y/x mL。)

「演 習」

  1. 食用油(油脂)の一般的な構造を示しなさい。また、ステアリン酸の分子量を算出しなさい。
  2. 油脂は水面でどのように並ぶか?親水部と疎水部の違いがわかるように分子を表し、図説しなさい。
  3. 墨汁には膠(にかわ)が使われている。その役割は何か、説明しなさい。
  4. ステアリン酸を精評したら、0.12 gであった。これをエタノール等に溶解させ、200  mL用のメスフラスコに入れて調整した。100滴でちょうど35 mLとなるピペットを使い、1滴を水面に滴下した。この場合、水面に広がり単分子膜を形成するステアリン酸分子の個数はいくつになるか、計算しなさい。

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◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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