• 教材や実験の開発情報

アルミニウムは、酸とも塩基とも激しく反応して水素を発生させます。濃度や温度にもよりますが、実験の条件設定によっては、急激な反応により思わぬ事故を招く恐れもあります。特に、アルミ缶に強アルカリを入れて密閉したことによる破裂事故は複数回報告されています。

「動 画」アルミホイルを用いて:塩酸と水酸化ナトリウムの比較

「解 説」アルミニウムは、酸の水溶液にも、強塩基の水溶液にも、水素を発生して溶けます。反応式の例としては…

2Al + 6HCl3 → 2AlCl3 + 3H2

2Al + 2NaOH + 6H2O → 2Na[Al(OH)4] + 3H2

動画では、常温下で同濃度2 mol/Lの塩酸2本・水酸化ナトリウム水溶液の入った試験管に、アルミホイルの小球を入れてます。特に、水酸化ナトリウム水溶液は、ホイルを投入して十数秒で水素の発生が始まり、発熱を伴う激しい反応が起こります。同温同濃度の塩酸ではほとんど反応が見られません。しかし、ライターの火で15秒ほど加熱すると、徐々に反応が加速し、数分内に反応が完結します。発生した水素は、貯めなくても、ライターによって点火することができました。

「動 画」

「動 画」アルミ缶(内部に傷をつけて)に水酸化ナトリウムを入れてみた

「動 画」事故コメント_1

アルミニウムと強アルカリが激しく反応して水素が発生、缶の内圧が上昇することで破裂に至った事案でした。アルミ缶内部には樹脂がコーティングされていますが、機械的な刺激で薄くなったり破損しやすいのです。そこに業務用洗浄剤のような強アルカリを保管すると、化学反応が進行しやすくなります。濃度や温度により、時間をかけて反応が進行することもあるので、ちょうど帰宅時間の途中であったのと、キャップ付き(容器を密閉できる)などの条件がたまたま重なったことによる不幸な事故でした。

「動 画」事故コメント_2

「動 画」地下鉄内で発生した事故:番組監修

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。