化学基礎実験_実験NOTE
「動 画」実践記録
「欠席者用:参考資料」
No.6
「表 題」ダイナミックな酸化還元反応_テルミット反応
「目 的」アルミニウムと酸化鉄を反応させることで、激しい酸化還元反応が起こり、単体鉄が生成することを確認する。
「概 説」
- 酸化還元反応:酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3とアルミニウムAlの反応は、次のような化学反応式で表すことができる。
2Al + Fe2O3 → Al2O3 + 2Fe_⓪
この反応は酸化還元反応であり、実質的な電子のやりとりに着目すると、アルミニウムが電子を3個放出して酸化される。
Al → Al3+ + 3[ e– ]…①
酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3の鉄原子が電子を受け単体の鉄Feに還元される。
Fe3+ + 3e– → [ Fe ] …②
Al + Fe3+ → Al3+ + Fe_③
実際には、Fe3+は酸化鉄(Ⅲ)Fe2O3となっているので、③を2倍し、両辺にO32-を加える。
- テルミット反応:まばゆい光を発し高熱になり一気に反応が進行する。還元されて生成した鉄が真っ赤などろっとした固まりとなって落ちてくるというダイナミックな化学変化である。単体鉄は、磁石に付くので取り分けることができる。この鉄は、ほぼ純鉄と考えてよく、黒光りしていてきれいであり、ずっしりとした重量感もある。また、大量の熱を発生することからテルミット[ 溶接 ]として、かつては鉄道のレール工事にも多用された。軍事目的において焼夷弾に使われたともいわれている。この反応における反応熱(酸化アルミニウムの[ 生成 ]熱)は、852 kJ/molであり、化学反応式とエンタルピー変化は…
2Al + Fe2O3 → Al2O3 + 2Fe
△H = -852 kJ
「準 備」新聞紙 500mLビーカー キッチンペーパー1枚 ろ紙1枚 型抜き 三角架 三脚 紙コップ アルミニウムAl粉末2.2g 酸化鉄(Ⅲ) Fe2O3 6.0g ハサミ マグネシウムリボン5㎝ ライター 硝酸カリウム(薬さじ大半分程度) 磁石 電子天秤
「操 作」
- 机上全面を新聞紙4枚で覆い、十分に水で濡らしておく。(机上の荷物は遠ざけておく)
- ビーカー(300or500 mL)を水で満たし、中ほどにペーパー1枚を固定する。
- ろ紙1枚を指示通りに重ね、少し湿らせて型抜きにセット、三角架と三脚に固定する。
- アルミニウムAl粉末2 gと酸化鉄(Ⅲ) Fe2O3 6.0 gをそれぞれ別の紙コップにはかり取る。 → よく混ぜ合わせる→ 湿気注意
- ろ紙上にアルミニウムと酸化鉄の混合試薬を小山ができるように入れる。山の頂点にハサミで切れ目を入れて下向きに折り曲げたマグネシウムリボンを深く差し込んで立てる。さらに、少量の硝酸カリウム(薬さじ大半分程度:薬包紙)をマグネシウムリボンを差し込んだ周囲にまく。
- ドラフト始動!
- 周囲に注意しながらライターで点火する。
- 反応後、十分に冷えたことを確認してから生成物を取り出す。濡れた新聞紙に挟み押さえつけて破壊し、磁石で鉄塊を集める。
- ヤスリなどで鉄塊の周りのスラグを取り除き、質量を測る。
「工夫と注意・片付けなど」
- 粉末が飛び散るので、実験用具容器等は遠ざけておく。
- 鉄塊は金属ゴミとして回収。
- 金属粉末はサビとして残ることがあるのでていねいに水ぶきする。
「観察・結果」
・水で濡らした新聞紙を敷く理由
・キッチンペーパーを用いる理由
・混合試薬の小山
・マグネシウムリボンや硝酸カリウム
・強い光と熱
・水がボコボコ
・赤熱球
・スラグ状[ 黒 ]色物質
・[ 光沢 ]あり
「考 察」
- アルミニウムと酸化鉄(Ⅲ) Fe2O3 の化学反応について
- 化学反応式で表しなさい。また、各物質の各原子の下に酸化数を書きこむこと。さらに、電子の受け渡しがどのように行われたかわかるように原子から原子に矢印を引きなさい。酸化数が増える反応と減る反応は、色分けすること。
e–を失う
2Al + Fe2O3 → Al2O3 + 2Fe
e–を受け取る
- 酸化剤・還元剤をそれぞれ指摘して色分けしなさい。
- 酸化鉄(Ⅲ) Fe2O3 1 gに対し、アルミニウムをやや過剰に用いたとして答えなさい。
- 用いた酸化鉄(Ⅲ) Fe2O3 の物質量nFe2O3 を求めなさい。
nFe2O3 = m/M Fe2O3
= [ 6.1/160 ]
≒ [ 3.8×10-2 ]mol
- すべての酸化鉄が完全に反応して鉄が生成したと考え、理論的に生成する鉄の物質量nFeを求めなさい。
nFe = nFe2O3 ×[ 2 ]
= [ 3.8×10-2 ×2 ]
≒ [ 7.6×10-2 ]mol
- さらにその鉄 Fe の質量 mFe をを求めなさい。
mFe = nFe × MFe
=[ 7.6×10-2 ×56 ]
= [ 4.256 ]
≒ [ 4.3 ]g
実験後、磁石を使って回収した鉄Feの質量 m (2.④)から、この反応の鉄Feの収量効率AFe %を求めなさい。(有効数値2ケタ)
A = 2④/ mFe2(3)×100%
= [ ]