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重曹を使ってエアインチョコをつくる実験:重曹(炭酸水素ナトリウム)は65℃くらいから急速に分解し、二酸化炭素を発生させます。その二酸化炭素の泡が、残ったまま固まって、中がフカフカのエアインチョコができるというしくみ。

チョコを70℃くらいで溶かして重曹を投入します。投入後は激しくかき混ぜて、発泡が収まったら湯せんをやめて放冷します。

「解 説」

1.その背景:アイドルや調理家がネットでチャレンジしている記事がヒットしているらしいです。しかし、市販のサクサクチョコは、エアの減圧を使っていて重曹は用いていないといいますが、パンやお菓子のように、チョコを重曹でふわふわサクサクにできるのかにトライ。そもそもチョコは、温めて固める作業(温度設定~テンパリング)が難しく、プロの技が生きる世界らしい。チョコの風味を保つこと自体が難しいといいますが…

2.実験のねらいとしては…

重曹(炭酸水素ナトリウムNaHCO3)の基本的な性質の確認:結晶では約270℃で熱分解反応が起こる。生成する二酸化炭素の確認方法・水の確認方法は?

炭酸水素ナトリウムNaHCO3水溶液は約65℃以上で急激に分解反応が始まるのは本当か?もっと低温で反応は起こるのではないか、の確認実験。

温度センサーを入れてデータを取る。発生する二酸化炭素量を捕捉できるか?

市販のチョコレートを溶かしてその温度で本当にNaHCO3の分解が起こって、ふかふかサクサクチョコができるのか?

温度が高すぎるとチョコが分離してまずくなるのではないか?一般的には50℃が限界とされているが…。

そもそもその温度で炭酸水素ナトリウムは十分に分解するのか?

3.重曹がつくるエアイン構造

パンをよく観察してみると、小さな小部屋が連なったスポンジ状の空間が作られていることがわかります。サクサク感を持たせたお菓子も同様であり、これらは気泡の形を残しながら固まってできた、いわば「エアイン」構造となっているのです。

炭酸水素ナトリウムは、キッチンでは重曹の名でも知られていて、こちらの方が一般的かもしれません。白色粉末結晶のまま加熱すると、270℃で熱分解します。パンやサクサクお菓子のふかふか構造を作るのは、生成した二酸化炭素によるものです。化学反応式は…

2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2

炭酸水素ナトリウム自身も生成物の炭酸ナトリウムも安全性が高く、食材の生地を膨らませる「膨張剤」として広く活用されています。やはり定番の食べ物を扱う実験で「カルメ焼き」がありますが、原理的には近いものがあります。


◇監修担当記事:理科教育ニュース2019.2.18 → 少年写真新聞社

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


コメント一覧

返信2019年3月14日 8:06 PM

重曹でエアインチョコを作る | らくらく理科教室24/

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