折り紙の金紙・銀紙にはまさか本物の金や銀は用いられてはいないでしょうが、せめて電気が通るかどうかくらいはチェックする価値はありそうです。
「動 画」金紙・銀紙を用いて
□金紙表面のコーティングはがしには、除光液(アセトンを含む)を用いています。
「解 説」
光沢面はアルミ箔:銀紙の光沢面はアルミニウムです。本物の銀ではありませんが、導電性の確認によって金属の一般的な性質の実験に用いることができます。金紙は、その銀紙表面に黄色い塗料(絶縁体)がコーティングされていて、金色に見えているだけで電気を通しません。そのコーティングはアセトンで浸した紙でこすると、表面に銀色のアルミ面が見えてきて、電気も通るようになるのです。実験のように金色面と銀色面の通電チェックの実験のような試みをすると理解が進むことでしょう。なお、アルミ箔同様、表面が酸化被膜で電気が通りにくい場合があるので、テスター電極の先端は、横にして少し強く折り紙に押し付けると反応が良くなります。
理科教育法指導案
「実践動画」
<指導案:1年_単元2「身の回りの物質」p68-75>
【本時の展開】
学習過程全50分 | 学習活動 | 指導上の留意点 |
導 入
10分 |
1.前回までの復習をする。 (教p.75) 2.本時の内容を確認する。 |
1.金属の特性を指名制で答えさせ、板書する。 ①金属光沢②電気をよく通す③延性 ④展性⑤熱をよく通す(教科書p.75) ・資料として、ビスマス、金箔、銀鏡、アルミの塊を見せる。 2.前回学んだ金属の特性を実際に体感するという目的を確認。 |
展 開
30分 |
1.実験プリントの「実験目的」を確認する。
2.実験準備 教壇から準備物の入ったトレーを持っていく。 3.実験プリントを見ながら実験方法を確認する。 5.操作開始。 6.実験プリントに記入する。 |
1.「金属に電気が通ること、磨けば光ることを体感することで、金属の特性についての理解を深める。」
2.準備物:金紙3枚、銀紙3枚、テスター1個、アセトン入りボトル1個、10円玉3枚、ピカール入り薬方皿1枚、綿棒3個 3.トレーのものと説明文に書いてあるものが合致するよう説明する。 4.・テスターを20Kに合わせて使うよう指示する。 ・金紙の塗装をふき取るのは中心部のみ。(黒板に図示しておく) |
まとめ
10分 |
1.実験結果を発表する。 板書:銀紙→通る 金紙→通った部分の図示 十円玉がこするとどうなったか。 2.片付け3.実験プリントの「反省・感想」を記入する。 |
1.・金紙、銀紙に電気が通ったか。また、どうしたら通るようになったのかを答えさせる。2.実験プリントの指示に従う。 |
【実験プリント】
実験1:金属の特性を調べる 参考:教p.68-75
実施日時: 天候 気温
「実験目的」金属に電気が通ること、磨けば光ることを体感することで、金属の特性についての理解を深める。
「準 備」
金紙 銀紙 テスター アセトン
十円玉 ピカール(研磨剤) 綿棒 ペーパータオル
「実験操作」1班3-4人想定
(1)テスターのスイッチを20Kに合わせる。
(2)金紙と銀紙にテスターの先を押し当てて伝導性を調べる。
(3)ティッシュにアセトンを少量取り、金紙の中心部のみをふき取る。
(4)再びテスターで金紙の伝導性を調べる。
「指導者評」
〇金属と非金属の差異について、身近なものを例示して、最終的に金属の性質や特徴に集約・誘導していく導入とすると良い。
〇全体の進行はスムーズで、実験の机間巡視での指導も適切であった。
〇金紙の塗料をアセトンで落とす作業までのプロセスが唐突で、何のためにその作業を実施するのかポイントがぼやけた。そもそも、金紙や銀紙が金や銀でコーティングされているわけではない、というところはもっと具体的な言及が欲しい。…もし本物の金だったら…?とか
〇アセトンのような有機溶剤の使用については慎重に:開始前に具体的な注意を促すことは必要
〇10円硬貨を磨いて光沢を観察:そもそも硬貨の汚れとは?磨き粉の成分とその働きについても、生徒が中学1年生相当であることに配慮を!
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。
◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)』