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松かさを炭化させてみました。実験では、強烈な匂いがあとに残るのであまりお勧めではありませんが、有機物を酸素を遮断して強熱すると水分と可燃性気体が抜け、炭化していくというものです。

「動 画」実験後にできた炭の松かさ

「動 画」材料を加熱すると可燃性のガスが発生してくる。簡単に着火させることができる。

有機物は、加熱、燃焼によって二酸化炭素と水を生成しますが、酸素を遮断して強熱すると水分と可燃性気体が抜け、炭化したものだけが残ることがあります。これを特に乾留といいます。松かさを空き缶に入れて空き缶に入れて強熱したところ、数分で真っ黒な炭となりました。アルミホイルのふたにピンホールを空けておき、ライターの火を近づけると燃えるので、可燃性ガスが発生していることもわかります。

「画 像」

 


実験プリント版

「実験タイトル」松かさの炭化

「サブタイトル」ミスしない炭作り

「キーワード」乾留 天然高分子化合物 セルロース 吸着剤

「準 備」炭化させたい植物素材(松かさや果物、葉、折り紙など) 上部をくり抜いた空き缶 アルミホイル 針金 インク

「操 作」

1.空き缶に松かさの木の実などを入れる。

2.アルミホイルにピンホールをあけて、発生した可燃性ガスに点火する。

3.十分冷えてから取り出す。

4.炭を砕いてインク色素の吸着効果を確かてみる。

5.ユズリハやツバキなどの厚めの葉を用いると、黒光りして美しい。

「解 説」

1.酸素遮断で乾留植物体は、セルロースがリグニンによって固められた作りをしていて、基本的にはC(HO)という組成となっています。酸素が十分であれば燃焼によって二酸化炭素 CO2 と水 HO に分解され、わずかなミネラル分を残すのみです。しかし、酸素を遮断する、いわゆる蒸し焼きにすると、水素と酸素ばかりが抜け出て炭素分が残ることになるのです。材料の10~20 %が残り、その重量の80-95 %程度が炭素だといわれています。このように植物体を酸素と遮断して加熱する方法を乾留といいます。実験では、発生したガスを燃焼させていますが、水蒸気の他、水素・一酸化炭素・メタン等が含まれているのでその扱いには注意が必要です。

2.炭内部はスカスカ構造炭は、よけいなものがあまり含まず、生木のように煙も出ないし、大きなエネルギーが安定して得られることから、有用な燃料源として利用されてきました。また、植物細胞の構成体が分解され、内部がすかすか状態になっているため、臭いや色素を取り除く、吸着剤としての働きもあり…

…省略…


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。

◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)


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