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液体を振るとボトル内の酸素により色素のインジゴカルミンの酸化反応が進むが、静置する間にグルコースにより還元されるというもの。容器を振っては静置を繰り返すことで、色素の酸化還元反応に伴う色変化(緑・赤・黄)が観察できます。

「動 画」3色に色が変化する:交通信号反応

「動 画」スターラーを用いて

「動 画」学生実験記録_少し解説入り


実験プリント版

「実験タイトル」インジゴカルミンの酸化反応に伴う色変化の観察

「サブタイトル」交通信号反応

「キーワード」グルコース 還元性 インジゴカルミン

「解 説」

1.振り混ぜて静置で色変わりを繰り返す:試薬を調整すると溶液は黄色になりますが、激しく振り混ぜると緑色に。そのまま静置すれば、いったん赤色になり、さらに黄色に戻るという色変化が楽しめます。しかも、何度か操作を繰り返すことが可能で、マジック的な要素もあり、大きなペットボトルを使うと、より演示効果は大きい実験です。水溶液の温度を高めるのは、反応速度を大きくするためで、温度により反応が影響を受けることも理解しやすい。多くの実験書には、丸底フラスコとゴム栓を使った例が紹介されていますが、手を滑らせてフラスを落下させたり、ゴム栓を押さえずに振ったために水酸化ナトリウムが飛び出してしまう危険性もあります。ペットボトルは持ちやすく落としても割れない上、キャプがスクリュー式なので安全性も高いので、実験容器として推奨したい。ただし、アルカリによって劣化していくので、長期間の使用は避けます。

2.酸化還元反応が連続的に起こる:インジゴカルミンの還元型は、黄色を呈しますが、空気中の酸素と反応することで(①)、分子内の五員環に結合する2つの水酸基の水素が奪われた酸化型(緑色)を形成します。しかし、そのまま静置すると、溶液中のグルコースの還元作用が働き、水酸基が一つ形成される中間型(赤色)となります。(②) さらに、そのまま静置すると、やはりグルコースにより、もうひとつの水酸基が回復して、もとの還元型(黄色)型に戻るのです。(③) いったん空気中の酸素により酸化された色素が、グルコースの段階的な還元作用により、構造変化に伴う色の変化を起こすという反応となっています。アルカリ溶液にすることで、グルコースのような還元糖が酸化され、グルコン酸への反応がしやすくなるためと考えられています。反応機構は複雑ですが、反応を簡略化して示すと次のようになる。インジゴカルミン(Indigo carmine)C16H8N2Na2O8S2は、□で表してあります。

①激しく振る □・H+ O→ □+2OH

(還元型:黄)    (酸化型:緑)

②静置する □+OH– +C6H12O6→□・H+C6H12O7

(酸化型:緑)(グルコース)(中間型:赤)グルコン酸

③さらに静置  □・H+OH+C6H12O6→□・H2+C6H12O7

(中間型:赤)(グルコース)   (還元型:黄)グルコン酸


◇監修高画質動画 → Yahoo!映像トピックス『まるで魔法…』

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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