油脂に廃油凝固剤(高級脂肪酸)を混合させて冷やすと流動性を失い、ゲル化して固まります。固まった油を燃料に、ガラスビンとヒモを芯に用いてキャンドルを作ります。
「実験タイトル」廃油からキャンドルを作る
「サブタイトル」労せずしてろうそく
「学習項目」油脂 脂肪酸 コロイド ゲル化 熱運動 蝋(ろう) エコ
「準備物」「操作」WEB非公開
「注 意」
「解 説」
凝固させた廃油がろうそくに:多くの廃油凝固剤として使用されているのは、12-ヒドロキシステアリン酸という飽和脂肪酸の一種です。この物質を廃油に混ぜると、コロイド粒子となって廃油中に均一に分散します。油の温度が下がってくると、粒子がくっつきあって網目状の三次元構造ができ、液状の廃油をその中に閉じ込んだままゲル化します。ただし、物理的に固化しているだけで、油自体が分解などの化学変化を起こしているわけではないので、加熱すると再融解し、冷やせばまた固化します。芯のたこ糸に点火すると、気化してきた油が次々と供給されるので、たこ糸の芯自体はほとんど燃えずに炎が維持されます。また、ガラスビンの大きさにもよりますが、対流によって二酸化炭素が排出され、酸素も十分に供給されるので燃焼が継続していきます。
廃油凝固剤は飽和脂肪酸:食用油の繰り返し使用は、油の変質(過酸化物の生成など)を招くので、可能ならより新しい油を用いることが望ましいとされています。しかし、使用済み油(廃油)を、そのまま流しに捨てて処理すると、生物の生息圏の水源を大変汚染するので避けねばなりません。その汚染の度合いは、1 mLの油を流して汚染すると、小魚が生息可能な水に戻すのに風呂桶1杯分の水道水を要するとも言われるからです。そこで、河川水の汚染防止という環境意識の高まりとともに、廃油に凝固剤を加えて固めてゴミ処理するという方法が一般化してきました。多くの廃油凝固剤として使用されているのは、12-ヒドロキシステアリン酸 CH3-(CH2)5-CH(OH)-(CH2)10-COOH で、主に唐ゴマから得られるヒマシ油を水素添加で硬化させ、加水分解により得られる脂肪酸です。
CH3-(CH2)5-CH(OH)-CH2– CH=CH-(CH2)7-CO-G G:グリセリン
ヒマシ油 ↓H2 (3基の-OHでエステルをつくる)
CH3-(CH2)5-CH(OH)-CH2– CH2-CH2-(CH2)7-CO-G
ヒマシ硬化油 ↓加水分解
CH3-(CH2)5-CH(OH)-(CH2)10-COOH
12-ヒドロキシステアリン酸
また、この実験では「ろうそく」という表現を用いていますが、本来の蝋(ろう)は、高級脂肪酸と一価または二価の高級アルコールとのエステルで、融点が高く油脂状の…
…省略…
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。