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アルケンであるシクロヘキセンに臭素水を反応させると、茶褐色透明液が無色透明になります。これは、シクロヘキセン分子内の二重結合に臭素が付加することによります。

「動 画」臭素水にシクロヘキセンを加える

一般に二重結合を持つアルケンは、反応性が高いため様々な物質と反応し、多種多様な化合物を生成します。エチレンC2H4が臭素Br2と反応する場合では、容易に1,2-ジブロモエタンBrCH2-CH2Br(無色)が生成します。

この動画で用いたシクロヘキセンは、エチレンC2H4と同様、分子内に二重結合を持つアルケンです。臭素水を用いる関係、常温で液体であるので、簡素な実験で用いる反応物としては、扱いやすい物質(ただし劇薬指定)です。試薬を加える順序は、シクロヘキサンの方が軽いので、臭素水を先に試験管に準備しておく方が観察しやすくなります。

シクロヘキセンに臭素が付加すると、1,2-ジブロモシクロヘキサンBr2-C6CH10-Br(無色)が生成します。ただし、閉環構造なので立体幾何異性体を2種類生成する可能性があり、この実験のように単に臭素水を加えただけの場合は、臭素原子が二重結合に空間的に優位にアタックするのでトランス型が多く生成すると考えられます。

trans-1,2-ジブロモシクロヘキサンBr2-C6CH10-Br

なお、動画でもわかるとおり、シクロヘキセンに静かに臭素水を加えても油層と水層が分離するため、すぐに反応は進みません。そこで、試験管を軽く振ることが必要になります。むしろ、あえて静かに臭素水を注いでおき、反応の様子を観察させる方が効果的かもしれません。濃度にもよりますが、瞬間的に反応が進んで、試験管内部で白煙が生じるのが観察できる場合もあります。アルカン・アルケンの実験は地味なものが多いのですが、液体で扱うことができるシクロヘキセンを用いるメリットは大きいと思います。


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