色のくすんだ、少し緑色に変色している部分もある10円硬貨に、マヨネーズやケチャップなどをひとたらし。歯ブラシでゴシゴシこすると、数十秒できれいな赤銅色となります。特に、緑色のさびもきれいにとれて、まるで新品のようです。
「動 画」10円硬貨の汚れとは?ケチャップ等の調味料できれいに落ちる件(取材側提供した映像)
某番組の依頼で参考のために提供した映像:要は銅のさびとはどんなものか、それが調味料できれいにおちる仕組みを解説。また、銅さびが溶け出だした水溶液に銅イオンが含まれていて、それを簡単に確認する方法を紹介しています。(急な依頼だったので多少説明に不備があるかもしれません)
「実験タイトル」古い10円硬貨をマヨネーズやケチャップで磨く
「サブタイトル」磨けば光る古10円
「キーワード」金属 光沢 酸化 緑青 酸
「準 備」色のくすんだ10円硬貨 トレイ マヨネーズ等の調味料 綿棒や歯ブラシ
「実験操作」
1.色のくすんだ10円硬貨をトレイ上に置く。
2.マヨネーズやケチャップ等を滴下し、綿棒や歯ブラシで磨く。
3.水で洗う。
「補足・注意事項」
1.操作後は手をよく洗うこと
「解 説」
硬貨の表面がくすんで見えるのは、金属が酸化して酸化物や炭酸塩をつくるからです。銅の含有量(亜鉛やスズなどを含む合金)の多い10円硬貨は、保管状態が悪いと、黒くくすんできます。このくすみの多くは、酸化銅(CuOやCu(OH)2)と考えられます。また、緑色が目立つ場合もありますが、これは緑青といって、銅の水酸化物 Cu(OH)2 と炭酸化物 CuCO3 がやや複雑な組成を持った化合物とされ、一般的には、CuCO3・Cu(OH)2として記述されることが多いようです。
これら、酸化銅や緑青は、マヨネーズやケチャップに含まれる酸(クエン酸などの有機酸)に溶解しやすいため、表層の薄い部分が溶け出してきれいになるのです。やはり、しょうゆやソースなどの調味料には、さまざまな有機酸が含まれていて、この酸が作用すると考えられるわけです。
なお、いわゆる手あかによる汚れで硬貨がくすんでしまう場合もありますが、こちらは主に油脂によるものなので、むしろ重曹(炭酸水素ナトリウム)のような塩基(アルカリ)を用いる方がよく作用すると考えることもできます。ただし、あくまで純粋な油脂であればということで、実際には汚れはさまざまな物質が混ぜこぜになっている場合がほとんどです。
◇参考:古い動画です;ケチャップをつけて歯ブラシで磨いてみた
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。