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ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)を少量の水に溶かして小さなサンプル管に入れ放置しておくと、虹のように鮮やかな色がうっすらと観察できるようになります。光の当て方や観察方向の角度、温度によって色が異なって見えることろが魅力的です。


実験プリント版

「実験タイトル」カラフル液晶を作る

「サブタイトル」液晶、でしょ!

「キーワード」構造色 液晶 高分子化合物

「準 備」「実験操作」WEB非公開

「観 察」材料のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)は白いふかふかした物質で、これに水を加えても、始めはぱさぱさしていて本当に混じるのかなという感じです。根気強く練っていると、次第にどろどろした粘り気のある糊になってきます。小さなサンプル管に入れてしばらく放置しておくと早ければ数時間経過後には虹のように鮮やかな色がうっすらと観察できるようになります。光の当て方や観察方向の角度を変えてみると、色合いが違って見えるので…

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「解 説」

1.液晶が作り出す虹のような光

材料のHPCは、セルロース[C6H10O5]n の水酸基を酸化プロピレンでエーテル化したもので、プロピルヒドロキシル基(-OCH2CH(OH)CH3)を多数持つ高分子化合物です。このHPCが一定の水を含んだ状態は、「液晶」という特別な状態となっています。「液晶」とは、固体が溶解して液体になる前に固体結晶と液体のいずれとも異なる中間の状態を取るもので、主に3種類(スメクティック液晶・ネマティック液晶・コレステリック液晶)に分類されています。その中で、細長い高分子が一定方向に並んで構成(配向)する層構造が隣り合う層が少しずつねじれてらせん構造を作ることがあります。この状態の液晶を「コレステリック液晶」といい、ねじれの角度がちょうど一周(360°)回転したときの分子層の厚みを「らせん(螺旋)ピッチ=P」と呼んで…

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2.水分や温度によって色が変わる

HPCの面白いところは、水分や温度によって色が変化するところにあります。水分が少ないと紫色で、水分が多くなるに従って青~綠を呈するという具合です。さらに橙~赤と変化していきますが、これはらせんピッチが水分の含量が多くなることで広がり、より長波長(橙~赤色)の光を選択反射することによるものです。また、温度を上げていくと、水分を増やしていくときと同様の効果で、やはり橙~赤が現れやすくなります。温度上昇で分子の熱運動が活発化し、ピッチが広がることによるものでしょう。これらの性質は、液晶温度計にも利用されています。さて、液晶といえば、パソコンやテレビ、時計文字の表示パネルが思い出され…

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◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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