ミカン皮をつぶして飛び出した汁を風船に向けて放出すると、一定の時間経過後に破裂します。まるで時限爆弾のようですが、これはミカン皮に含まれるリモネンという成分が作用しているようです。
「動 画」ミカンの汁で風船を割る
□汁をとばして少し経ってから風船がわれる感
「動 画」学生による演示
□風船に水を入れたり、色違い風船を重ねて破裂させたち…
「動 画」ロウソクの火に向けてみた
□パッと燃えるのが観察できました
「動 画」リモネンでスチロールを溶かしてスタンプや手形をつくる
□スチロール成分が溶けだしてくるので手袋が必要。
油の正体はリモネン:ミカンをいじっていると手にテカテカして成分が付着することがあります。この成分は、ミカンの皮に多く含まれるd-リモネンで、柑橘類の果皮の独特な香りの元となるモノテルペン類に分類されている精油です。実験では、手頃な温州ミカンを使っていますが、オレンジやグレープフルーツ、レモンでも同様の現象が確認できます。リモネンには細胞を保護する酵素の生成を促進し、胃腸の機能や免疫力を高め、中枢神経の興奮を鎮静化する作用も確認されています。
構造が似ているものを溶かす:リモネン分子は二重結合を二カ所持ち、その構造がちょうどゴムの成分であるイソプレン(C5H8:が付加重合して高分子を構成している)と似ています。構造が似たものどうしは混ざりやすいため、リモネンはゴムを溶解させやすい物質です。ゴム風船が割れたのは、膨らんでゴム層が薄くなっている部分にリモネンが付着し、ゴム成分がリモネンに溶けて強度が低下したからです。また、このリモネンは、ゴムだけでなく発泡スチロールのようなプラスティックも溶かすことができます。発泡スチロールの成分はスチレンポリマーで、やはりリモネンと分子構造が似ているのです。作るに安価容易でありながら燃やすことのできない発泡スチロールの扱いに困ることは多いのですが、このリモネンを不要のスチロール梱包材などの回収に役立てようという動きもあるようです。
◇サブタイトル:リモネンだもんね!
◇キーワード:リモネン 光学異性体
◇使用材料:リモネン
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。