• 教材や実験の開発情報

電磁波のエネルギによりアルミニウム表面の酸化被膜(酸化アルミニウム:導電性なし)が溶かされます。アルミ球どうしが接触している部分で電気が流れるようになるため、電波で電流を制御できるという考えに基づく装置です。現代のリモコン技術に通じる発明とされています。

安価な素材で一応の反応が見られるので手軽にトライできる教材のひとつ。

「動 画」学生によるレクチャー


「解 説」

1.電磁波のエネルギーをキャッチする装置:電磁波が金属粉末に到達する際に、そのエネルギーによって金属表面の抵抗が著しく低下して電気が流れやすくなるという現象を利用した装置。アルミニウム表面の酸化被膜である酸化アルミニウム Al2O3 は、導電性はありませんが、電磁波のエネルギーによって局在的に熱が発生します。すると、アルミニウム表面が溶けて、アルミニウム単体 Al がむき出しになって電気が流れやすくなるというものです。金属粉末や球体を用いた場合、接触している部分がわずかであるため、この現象がより顕著に起こると考えられます。

2.無線通信の原理に応用:この発見は、1890年、金属粉末の電気伝導性を研究していたエドアール・ブランリーによるもので、直後にオリバー・ロッジがこれを検波器に応用したことで、その後の無線技術の向上に大きく貢献することとなりました。コヒーラという名称は、当初、この現象が高周波により電極と金属粉末同士が「密着する」(cohere)からだと考えられたことによります。この電磁波によって電流を制御できるという考えは、現代のリモートコントロール技術につながる大発明となったのです。なお、リモートコントロールについては、かのニコラ・テスラが、1898年に無線操縦の特許を取得し、ニューヨークで無線操縦の船舶模型を実演したという記録が残っているそうです。


◇「理科教育法」3年_科学技術と人間生活

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。


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