「授業実践の実際」化学実験Ⅰはもちろん、講義科目の化学Ⅰでも受講者が実際に実験操作に関わる時間帯が多くなります。実質的には、化学現象を体験しながらの学習活動。(化学Ⅰでは、メモを取る程度で研究レポートの提出はない)
〇化学Ⅰ実践例:2019.10.1「ダイヤモンドを燃やす」
〇化学Ⅰ実践例:2019.10.7「ペットボトルに銀メッキをする」
化学Ⅰ(講義科目)_ガイダンス資料
- 遅刻したり、欠席が多くなりそうな人は受講しないでください。
- 授業の進め方
- 進行状況によっては、事前に提示した内容を修正・調整することがあります。
- 授業NOTE(プリント)を配布します。内容をメモするノートとして活用して下さい。 → 試験日当日に提出!(綴じ方などは指示する)
- 実験NOTEの空欄を埋めていくときに発問することもあります。順番に指名するので積極的に応答を。
- 授業では、教材や映像提示・演示実験を行い、その後に化学的な解説をするというパターンが多くなります。必要があれば座席を移動して観察し、撮影するなどデータを積極的に活用して下さい。
- 小テストを実施することもあります。
- 成績評価について
- 出席重視:授業中の観察・体験を重視するので、遅刻厳禁・欠席は原則3回まで。(公的な事情は考慮しますが…)
- テストに加え、授業の参加態度・教材の観察態度・実験NOTE等を総合的に判断します。
- 担当教員紹介:
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授業NOTE:一部公開(文字情報のみ)
※文中記号 [ ]語句記入箇所 ☆演示実験 △回覧教材 □映像紹介
- 物質と現象の探求⑴…化学結合から見る化学物質
☆ダイヤモンドを強熱する
- 観察のポイント
- 特筆すべき化学物質「ダイヤモンド」
- 炭素原子のみから構成される[単体 ]:石灰水(水酸化カルシウム水溶液)が白濁(炭酸カルシウム)。
・C + O2 → CO2
・Ca(OH)2 + CO2 → [ CaCO3 + H2O]
- 無色透明の結晶:天然の物質の中で最も硬く、摩擦やひっかき傷に対する強さの指標である[モース ]硬度では最高値[10 ]。
△ダイヤモンドの結晶モデル
△ダイヤモンドの鑑定書
- 炭素原子どうしが[109.5 ]°で共有結合(sp3混成軌道)により結びつき、巨大分子(結 晶)を構成。
- 導電性[なし ]:すべての[価 ]電子が共有結合に使われているため
- 熱伝導性[高 ]い:熱伝導率は、銅の約5倍。
- 屈折率[2.4 ]:透明結晶の内壁面で反射と屈折を重ね、プリズム効果による光の分散でカラフルな光の束となって出てくる。→[ブリリアント ]カット
- 希少性:地球深部の[高温高圧 ]状態の特殊な条件下で形成され、大粒のものは極めて珍しい。
- 1905年南アで発見されたカリナン原石は3106カラット(621.2g)。1カラット=[0.2g ]。
- 人工的に作成する方法としては、高温高圧法や化学気相成長法などがある。→[工業 ]用ダイヤモンド
□カリナン原石
△シリカゲルブルー
☆塩化コバルト(Ⅱ)六水和物を用いて
- 観察のポイント
- 色の変化:
- 濃塩酸を加えると:
- 水の吸収により色が変わる
- 水分子の離脱:塩化コバルト(Ⅱ) CoCl2・6H2O を加熱すると水和している水分子が離脱して、青色を呈する。
[Co(H2O)6]Cl2 ⇄ CoCl2 + [6H2O ]
(暗紫色) (青色)
しかし、放置しておくと空気中の水分を吸収し[水和 ]物に戻る。
- この六水和物を水に溶解させると、淡桃色の錯イオン [ヘキサアクアコバルト(Ⅱ) ]イオンをつくって安定する。色調の変化は、乾燥剤の[シリカゲル ]粒や化学反応で水が生成しているかどうかの判定剤としても利用されている。
CoCl2・6H2O ⇄ [ [Co(H2O)6]2+ ] + 2Cl-
ヘキサアクアコバルト(Ⅱ)イオン
- 錯体の配位数が変化する
- 塩化コバルトを水に溶解させたのち、さらに濃塩酸を加えると、水分子と塩化物イオンの交換が起こり、テトラクロロコバルト(Ⅱ)酸イオン [CoCl4]2- が生成する。
[Co(H2O)6]2+ + 4Cl– ⇄ [ [CoCl4]2- ]+ 6H2O
- この変化では、コバルト錯イオンの構造が[八 ]面体から[四 ]面体へと変化し、配位数が[6] → [4 ]に減少する。また、吸熱反応を伴う可逆反応で、温度を上げていくと、微妙な色の変化も観察される。
□お天気ネコ
☆タマネギの色素で布を染める
- 観察のポイント
- 色素の抽出と媒染
- 抽出:色素の[熱運動 ]の結果、水への[拡散 ]溶解が起こる。その効果は、[温度 ]の影響が大きいので、染色作業においては加熱することが多い。
- [媒染 ]効果:木綿はそのままでは染まりにくい。代表的なミョウバン(カリミョウバン)の化学式は{\displaystyle {\ce {AlK(SO4)2\cdot 12H2O}}}[KAl(SO4)212H2O ]
- タマネギ色素「ケルセチン 」
- ケルセチンC15H10O7:フラボノイドの一種、ソバや柑橘類の外皮にも含まれ、ベンゼン環に複数のヒドロキシ基がついた植物色素に共通する[ポリフェノール ]とよばれる構造。
- キレート:アルミニウムイオンや鉄イオンのような金属イオン(M)を加えると、色素分子の一部に固定された状態(キレート)ができあがる。一種の[錯 ]イオンが形成され、色調や酸・塩基に対して堅牢度が高くなり、繊維に固着しやすくなる。同様の反応として、フェノールが鉄イオンと反応して、紫色を呈する反応がよく知られている。
- 白いタマゴが茶色に:殻の表面に存在する[カルシウム ]イオンによる媒染効果が働く。
- 染色の歴史:動物~植物繊維
- 聖徳太子の冠位十二階:役職のランクによって着衣の色を明確に区別するという統治行為としての政治的な意図が働いていた。
□平安時代の十二単(じゅうにひとえ)
- 絹や羊毛:貴族が身につける衣装の繊維は絹が主流だった。絹は動物性の[タンパク ]質であるため、ペプチド[ [CO-NH] ]の部分に植物色素が結合しやすく色が定着しやすい。
- 麻や綿布:植物繊維[セルロース]には、色素がからみにくいため、媒染剤の他に事前に豆汁や牛乳に漬けておくと良いとされる。 → タンパク質が綿布に残り、色素に染まりやすくなる。肉汁や血液などの汚れが落ちにくい理由でもある。
△□藍染め:綿布にもよく染まるので爆発的に広まった→ ジーンズ
△□紫根染め:紫草から得られる色素(シコニン)による染色法。古代から最高位の色として大切にされた。
△□紅花染め:金属イオンによるキレートとは直接関係なく、酸塩基反応を利用した染色法。
- 物質と現象の探究⑶_コロイドの性質
- コロイド溶液の基本的な性質
☆塩化鉄(Ⅲ) FeCl3水溶液を沸騰水に加える
- 観察のポイント
- レーザーの光の筋:
- 生成したコロイド溶液の色:
- コロイド粒子の特殊な性質
- 生成したコロイドの色:塩化鉄(Ⅲ)水溶液は[黄 ]色、生成した水酸化鉄コロイドは[茶褐 ]色で[透明 ]。アルカリとの反応で生成する沈殿状の水酸化鉄とは明らかに違う。
FeCl3 + 3H20 →[ Fe(OH)3 ] + 3HCl
(コロイド)
- コロイド粒子の大きさ:イオンよりも大きく、ろ紙の穴よりも小さい。[10-9 ]~[10-7 ]m程度の大きさのため、特殊な性質を示す。
…以下省略
…他20ページ程度
化学実験Ⅰ_実験テーマリスト
※リスト番号はレポートのNo.とは一致していない
- 有機化合物の性質1:炭化水素~アルコール・アルデヒド・カルボン酸…
- 有機化合物の性質2:有機合成反応~エステル反応;酢酸エチル合成 芳香族の合成反応;ジアゾカップリング…
- 高分子化合物:単糖類~多糖類;グルコース・デンプン
- 溶液の性質:コロイド~
- 化学変化と反応速度:時計反応・ベロウゾフジャボチンスキー反応…
- 化学反応とエネルギー:熱化学・化学発光~
- 化学電池:燃料電池の製作~電池性能測定
- 生活の中の化学:キッチンケミストリー…
- 伝統文化の中の化学:染料と染色;天然染料(紅花色素)の抽出と染色
※内容は、実験環境や材料の準備の関係で実施順序や内容変更することがあります。