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デンプンは、多数のグルコースが連鎖した構造を持つ巨大分子で、らせん状円筒構造(アミロース)を作っています。そこにヨウ素分子が加わると一定条件のもと、紫色を呈することがあります。

「動画1」ヨウ素デンプン反応:温度の影響を観察

◻︎温度に対して可逆的

「解 説」

ヨウ素デンプン反応:デンプンのアミロース内部にヨウ素分子が並んで複合体を構成されると、特定のスペクトルを吸収して紫~青紫色を呈します。この反応はかなり鋭敏であるため、デンプンやヨウ素、酸化剤の検出に利用されています。また、常温でははっきりとした呈色反応が起こりますが、60℃を超えるくらいから色が抜けていきます。熱運動が活発になって螺旋状のアミロース構造がゆるみ、ヨウ素分子の配列が乱れることによります。しかし、冷えてくるとアミロースが引き締り、色が復活する可逆的な反応です。なお、動画ではデンプン水溶液の作り方にも触れています。デンプンは、冷水にはとけにくいので加熱が必要です。白く濁っていたものが、70℃を超えると急に透明になるところも注目です。いったん完全に溶解させておけば、あとは常温になってもそのまま透明を保ちます。デンプン水溶液はチンダル現象を示し、ほぼコロイド溶液となっていることもわかります。

「動画2」デンプンを硫酸で加水分解

◻︎無機物質(酸)による加水分解:次第に色が薄れていく

「解 説」

酸による加水分解:時間を追ってデンプンが分解され、紫色が薄くなっていく様子が観察できます。動画では、6 mol/L硫酸、85℃、10分というかなり厳しい条件でようやく完全に分解できました。分解によって生成したグルコースは、フェーリング反応によって検出することができます。

動画3」胃薬の効果を確認する

◻︎胃薬(タカジア錠剤)の効果を確認

「解 説」

酵素による加水分解:デンプンは体内の酵素により、デキストリンやマルトースなどを経て最終的にグルコースに分解されます。体内で最初に働く酵素としてはアミラーゼが代表的で、ヨウ素デンプン反応を利用すると、分解が進むにつれて色が薄くなっていく様子が観察できます。この映像では、温度の影響も大きく、分解はせいぜいマルトース止まりだとは思われますが、次第にデンプンのアミロース構造が壊れていくことによる変化は確認できるようです。糖の検査薬を用いて、糖が分解生成したことを確認する操作も効果的です。

「動画4」紙のデンプンのりとヨウ素の反応で絵を描く_学生実験

◻︎紙に用いられるデンプンの種類によって微妙に色合いが異なる。


◇参 考:山田暢司,化学実験室,工学社,2016,128


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)


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