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硝酸アンモニウムが水に溶解する際に強烈な熱吸収が起こります。

「動 画」硝酸アンモニウムを水に溶かす

□ビーカーの表面で氷結が起こっています。

「動 画」粉末と粉末の反応のパターン:硫酸ナトリウム10水和物を用いて

□粉末どうしの組み合わせ

「解 説」

化学変化に伴うエネルギーの出入り:化学変化に伴う熱の出入りを考える場合、石油などの燃料を酸化・燃焼させるときのように、発熱反応を考えることが多いかと思います。それは、自然界における化学変化が、熱を放出して、より安定な状態に落ち着く方向にいくことが多いからです。しかし、エネルギーを周囲から得ようとする吸熱反応も少なくありません。ここでは、イオン結晶である硝酸アンモニウムを水に溶解させることで、溶液の温度が低下することを確認しています。硝酸アンモニウムが水に溶解する際の反応式は…

 NH4NO3 → NH4+ + NO3

水に溶解してイオンとなった成分は、水分子と水和状態にあり、電気的に安定します。この溶解に伴って起こる熱の出入りは、次のように熱化学方程式で表すことができます。ただし、硝酸アンモニウムは、大量の水に溶解するので、その水をaqと表記し、単に溶解物の化学式の後にaqを付しています。

NH4NO3(固) + aq  → NH4NO3aq  △H = 25.7 kJ

保冷剤に利用される:溶解時に吸熱反応を示すものとしては、尿素、塩化アンモニウム、硝酸バリウム等があります。硝酸アンモニウムと硫酸ナトリウム十水和物や水酸化バリウム八水和物の混合物のように、解離した水分子に、それぞれの成分が溶け込んで、熱エネルギーの吸収が起こるというものもあります。特に、硫酸ナトリウム十水和物は、粉末と粉末を混合させるだけなのでとても扱いやすいです。これは、混ぜ合わせると急冷する瞬間冷却パックに利用されているものです。携帯できるので便利ですし、廃棄してもさほど問題ありません。なお、動画で紹介した硝酸アンモニウムは、肥料や医薬品など多方面の製造において利用されるものの、爆発物の原材料ともなりうるため取り扱いに注意を要する物質です。


◇参考:レナード・A・フォード『化学マジック-化学を使う奇術百科』白揚社

◇参考:硝酸アンモニウムの爆発事故(2020.8.5)に関しての解説


◇実験テーマ:反応熱で凍らせる!硝酸アンモニウムの水への溶解熱(吸熱)で氷ができる。

◇サブタイトル:凍(こお)りゃ、大変だ!

◇キーワード:熱化学方程式 吸熱反応


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。


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