卵の殻の表面をロウソクの火にかざしてススだらけにします。真っ黒になった卵をそのまま水中に沈めると…銀色に輝いて見えます。
卵の表面についたスス(炭素の単体)は、水にとけにくく水をはじくため空気層ができます。水中を進行する光は、空気層とススと水の境界面で反射(全反射)するため、卵の表面の真っ黒いススが見えにくくなるのです。全反射とは、水中を進行する光が、空気層に比較的浅い角度で当たる際に、鏡のように反射される現象です。
一般に光が物質に当たるとき、表面で一部が反射し、残りの光がその物質の内部を進んでいきます。光の当たる角度を調整して、少しずつ浅くしていくと、内部に透過していく光が少なくなり、ある特定の入射角になると、すべての光が反射(全反射)されてしまう現象が起こります。この角度のことを「臨界角」といいます。全反射は、空気と水の場合だけではなく、異なる2つの物質を通る光の速さ比率によって決まります。
なお、モモやウメの実のように、表皮が細かい毛で覆われているものも、ススと同様な効果をもたらすので、実が輝いてまるで氷でくるまれたような感じになることでしょう。
「動画」理教法実践記録映像
「模擬授業」学生指導案
〈指導案:1年_単元3「身のまわりの現象」p.148-151〉 N
【本時の展開】
学習過程
全50分 |
学習活動 | 指導上の留意点 |
導 入
10分 |
1.本時の内容を確認する。
2.演示実験を観察する。 |
1.ススだらけの卵が水中で輝く実験を通して「光の屈折」で学習した内容(教科書p.148-151)・知識の確認をする。
2.教壇の周りに集合させ、実験方法を説明しながら実験を行う。ススで真っ黒になった卵をそのまま水中に沈めると卵が輝いてみえることを確認する。 |
展 開
30分 |
1.実験プリントの「実験目的」を確認する。
2.実験方法を確認する。 3.実験上の注意点について確認する。 4.教壇の上から準備物の入ったトレーを持っていく。 5.操作開始 各操作が終了したら、実験プリントの「観察」と「考察」を記入する。 6.実験プリントの記入をする。 |
1.演示実験を観察して、なぜ、ススで真っ黒になったはずの卵が輝いて見えたのかを考える。
2.実験方法を確認する。 ※ポイント…卵の中身を取り出す際に、ストローで息を吹き込むと中身を取り出しやすくなる。また、卵を炙る際、ススがでやすいロウソクを使うとよい。 3.実験上の留意点 (1)ヤスリで卵の殻の一部を薄くする際に、手をケガしないように注意。 (2)ロウソクで卵を炙る際に火傷に注意。 (3)火を取り扱うので机の上に濡れた雑巾を準備しておく。 4.準備物はまとめてトレーに入れておく。トレーを持ち運ぶ際に、トレー内で卵が割れてしまわないように気をつけるよう指示をする。 5.実験操作中は作業の進行状況の確認と助言や安全確認を行う。 6.実験プリントの「観察」と「考察」の記入状況を確認する。 |
まとめ
10分 |
1.実験プリントの「まとめ」を記入する。
2.片付け 3.実験プリントの「反省・感想」を記入する。 |
1.まとめ
・卵の表面についたススは水にとけにくく水をはじくため空気の層ができる。水中を進行する光は、空気の層と水の境界面で反射するため、卵の表面の真っ黒いススが見えにくくなる。 2.卵の殻と中身を取り出す際に使用した割り箸、ストローは燃えるゴミとして廃棄。シャーレ、トング、ビーカーは洗浄後、他の備品とともにトレーに入れて教壇の上に返却。 3.今回の授業について振り返りを行い、次時の授業に活かせるようにする。 |
【実験プリント】
実験1:ススだらけの卵が水中で輝くのはなぜか 参考:教p148-151
実施日時: 天候 気温
班 氏名
「実験目的」
ススで真っ黒になったはずの卵が、なぜ水中で輝いて見えたのかを推測し、確かめる。
「準 備」
トレー シャーレ 卵 ヤスリ 割り箸 ストロー ロウソク ライター ロウソク立て トング 500 mlビーカー ガムテープ ダンボール ティッシュペーパー
「実験操作」
「観察」ススだらけの卵を水中に入れたときの様子 |
8.反省・感想
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。