紫キャベツ色素を用いて虹色のタワーをつくります。下方に炭酸ナトリウム、上方から希塩酸を滴下すると、アルカリ性と酸性のせめぎ合いによって、カラフルなグラデーションが広がります。
□下方に炭酸ナトリウムを仕込んでおき、上方から塩酸を滴下します。
「解 説」
この演示実験は、pHの差を意図的につくって指示薬の色のグラデーションを残すというものです。上方からは希塩酸を滴下していきますが、時間経過とともにきれいなグラデーションが観察できるようになります。特に、炭酸ナトリウム結晶の近くは、pH12程度なので色素が黄色くなります。その上に青い成分と混じり合って黄緑色に見える部分ができます。さらに、青と紫、紫と赤の部分が微妙な色合いを呈するようになるのです。
また、無水炭酸ナトリウムを試験管の底に入れてから水を加えていますが、そこでは水炭酸ナトリウムの水和物が形成されます。この水和物がゲル状となるため、上方からの成分が移動してきてもその動きをブロックする役割を果たしてもいるのです。そのため、しばらくは炭酸ナトリウムの結晶は残り続け、試験管下方はアルカリ性を保つというしくみです。動画では、上から色素粉末を落としても、試験管の底に近い部分で下降が抑えられていることが観察できます。
なお、一般的に水溶液中の成分の熱運動は温度に支配され、一定時間が経過すると均一な水溶液となっていきます。しかし、一定条件のもと、水溶液の液性に偏りが残りやすい場合もあります。濃度や温度が違う液体が混ざりにくいことはよく知られ、寒流と暖流、塩分濃度の濃い部分の滞留などが例示されることがあります。
「動 画」解説動画
□学生(高橋尚樹君)による編集
「動 画」生紫キャベツをすりおろしての抽出操作_学生による演示
□生紫キャベツをすりおろして色素を抽出すると、粉末試薬を用いる場合よりも、紫色の帯が広く調整しやすいようです。(あくまで経験による:根拠なし)
使用する生キャベツは、市販の1/4玉カットでも、100 mL程度の抽出液を得ることができます。かなり濃いので薄めて使用するとよいでしょう。
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。