紫キャベツ色素を用いて虹色のタワーをつくります。下方に炭酸ナトリウム、上方から希塩酸を滴下すると、アルカリ性と酸性のせめぎ合いによって、カラフルなグラデーションが広がります。
「解 説」
この演示実験は、pHの差を意図的につくって指示薬の色のグラデーションを残すというものです。上方からは希塩酸を滴下していきますが、時間経過とともにきれいなグラデーションが観察できるようになります。特に、炭酸ナトリウム結晶の近くは、pH12程度なので色素が黄色くなります。その上に青い成分と混じり合って黄緑色に見える部分ができます。さらに、青と紫、紫と赤の部分が微妙な色合いを呈するようになるのです。
また、無水炭酸ナトリウムを試験管の底に入れてから水を加えていますが、そこでは水炭酸ナトリウムの水和物が形成されます。この水和物がゲル状となるため、上方からの成分が移動してきてもその動きをブロックする役割を果たしてもいるのです。そのため、しばらくは炭酸ナトリウムの結晶は残り続け、試験管下方はアルカリ性を保つというしくみです。動画では、試験管の底に近い部分で下降が抑えられていることが観察できます。
なお、一般的に水溶液中の成分の熱運動は温度に支配され、一定時間が経過すると均一な水溶液となっていきます。しかし、一定条件のもと、水溶液の液性に偏りが残りやすい場合もあります。濃度や温度が違う液体が混ざりにくいことはよく知られ、寒流と暖流、塩分濃度の濃い部分の滞留などが例示されることがあります。
「参 考」紫キャベツ色素のpHによる構造変化
色素の分子構造が変化する際に、光の[ 吸収 ]波長の推移で色調が大きく変わる。アントシアニンの基本骨格(置換基により多くの種類が存在)図の分子内①~⑤の部分について…

①酸性(pH<3):B環の酸素がプラス(O+)を帯び、青や緑などの[ 短 ]波長を吸収し赤い光を反射する。
②弱酸性~中性(pH4~6):H+濃度が低下してくるとC環のヒドロキシ基[ -OH ] のHが使われて = Oへと変化する。いわゆるキノン構造をとるため長波長の緑の光を吸収し鮮やかな紫色が観察される。
③④弱~中程度塩基性(pH8~11):A環のヒドロキシ基 -OH からも[ H+ ]が奪われて – O– や = O の構造をとり、より長波長の光が吸収されて青~緑色が観察される。
⑤強塩基性(pH>11):B環が変形して[ 開 ]環し黄色を呈する。
「動 画」解説動画(学生_高橋尚樹君)による編集
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。