マグネシウムリボンに点火して燃焼、水に差し入れると火は消えてしまいますが、沸騰水中であれば燃焼が少し継続します。
「動 画」沸騰水中なら燃えるマグネシウム
□温度が高くなると反応速度が高まることによるものと考えられます。反応後は、フェノールフタレインの滴下により塩基性を示すこともわかります。
「解 説」
水中でも燃える:マグネシウムを空気中で燃焼させると、2Mg + O2 → 2MgO によって、まばゆい光を放って激しく反応します。燃焼中のマグネシウムを水につけると、たちまち熱が奪われるので反応は停止してしまいますが、沸騰水だとかえって激しく反応するのです。マグネシウムリボンはあっという間に燃え尽きてしまう感じです。この反応例からは、温度が反応速度に大きな影響を与えるということは理解しやすいのですが、O2がほとんど存在していないのにと、なかかなか理解しがたい面があります。熱水中では次のような反応が同時に進行したと考えられます。
Mg + H2O → MgO + H2
MgO + H2O → Mg(OH)2
Mg(OH)2 → Mg2+ + 2OH–
マグネシウムは燃焼の結果、酸化マグネシウムとなり、一部が溶解して水酸化物イオンを生成、水溶液は塩基性を示すという流れです。
二酸化炭素中でも燃える?:同様な考えにより、水中はもちろん、二酸化炭素とも容易に反応します。マグネシウムは、二酸化炭素中の酸素原子と直接反応するのです。
2Mg + CO2 → 2MgO + C
二酸化炭素中での燃焼は、ちょっと理解しがたいものがありますが、これは二酸化炭素は火を燃やした際に発生する気体で、酸素が消費されて物が燃えるのを停止してしまうという先入観があるためです。物が燃えるときには酸素が必要であると理解はしているものの、二酸化炭素中の酸素原子の存在は意識されにくいわけですね。なお、ドライアイス板にマグネシウム粉末を挟み込んで点火し、激しい反応を演示する実験も広く知られています。
「参考動画」二酸化炭素中でも燃える
□かなり激しい反応が起こります
◇実験タイトル:マグネシウムが水中で燃える
◇サブタイトル:まぐれで燃えるのかマグネシウム
◇キーワード:アルカリ土類金属 酸化 燃焼 塩基性酸化物 反応速度
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。