マグネシウムリボンに点火して燃焼、水に差し入れると火は消えてしまいますが、沸騰水中であれば燃焼が少し継続します。温度が高くなると反応速度が高まることによるものと考えられます。反応後は、フェノールフタレインの滴下により塩基性を示すこともわかります。
「動 画」沸騰水中なら燃えるマグネシウム
「動 画」マグネシウムは沸騰水中でも燃焼する
「動 画」燃焼するマグネシウムに水を注ぐと爆発的に燃える→危険
「実験テーマ」マグネシウムを水や二酸化炭素中で燃やす
「実験概要」マグネシウムは、水や二酸化炭素の酸素と直接反応して燃焼する。
「キーワード」化学反応式 酸化 塩基性酸化物 反応速度
「準備・操作」web非公開
「注意事項」
「解 説」
1.水の中でも燃える:マグネシウムを空気中で燃焼させると、まばゆい光を放って激しく反応し、2Mg + O2 → 2MgO の反応が起こります。燃焼中のマグネシウムを水につけてみると、たちまち熱が奪われるので、反応は停止してしまいますが、沸騰水だとかえって激しく反応し、マグネシウムリボンがあっという間に燃え尽きてしまうのです。この反応例からは、温度が反応速度に大きな影響を与えるということは理解しやすいのですが、O2がほとんど存在していないのに、燃焼というのはなかかなか理解しがたい面があります。反応式としては…
Mg + H2O → MgO + H2
MgO + H2O → Mg(OH)2
Mg(OH)2 → Mg2+ + 2OH–
…省略…
2.二酸化炭素中でも燃える?:実験Bで、次の反応式の通り、集気ビン内で発生する気体は二酸化炭素 CO2 であり、空気より重いのでビンの底から溜まっていきます。
CaCO3 + 2HCl → CaCl2 + H2O + CO2
炭酸カルシウム 塩化カルシウム
当然、酸素はほとんど追い出されていますから、マッチの火も、ビンの上部に近づけるだけで消えてしまいます。ところが、点火したマグネシウムリボンは、消えるどころか、勢いよく燃焼するのです。二酸化炭素は、火を燃やした際に発生する気体で、物が燃えるときには酸素が必要であるとの先入観があって、これもやはり理解しにくいものがあります。マグネシウムは、次のように二酸化炭素中の酸素原子と直接反応するのです。
2Mg + CO2 → 2MgO + C
…省略…
「参考動画」二酸化炭素中でも燃える
「演 習」
【実験A】
1. マグネシウムの電子配置を描きなさい。特に価電子は◎として区別すること。
2. マグネシウムが燃焼する際の反応式を完成させなさい。
(1)空気中で燃焼する場合
( ) + O2 → ( )
(2)沸騰水中で燃焼する場合
Mg + H2O → ( ) + ( )
(3)マグネシウムは、常温水中では反応せず、沸騰水中で燃焼する。これはどのように考えたらよいか?
3. 反応後に( )色の固形物が残る。この固形物の水溶液にフェノールフタレインを滴下した際の反応から、わかることを述べなさい。
【実験B】
1. 希塩酸と炭酸カルシウムの反応を化学反応式で書きさない。
2. 操作の2は何を確認するためのものか?化学式で書きなさい。( )
3. 集気ビン中には酸素がないが、マグネシウムの反応からわかることを反応式を使って説明しなさい。
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作自体に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。