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過酸化水素とヨウ化カリウムの反応 硫酸酸性で進行する酸化還元反応で、ヨウ素デンプン反応によって単体ヨウ素が生成したことが観察できます。

□単体ヨウ素の生成~デンプンの添加によって確認できます

「操 作」

  1. 試験管A:過酸化水素水10 mL(1%:少量の濃硫酸添加) → 試験管スタンド
  2. 試験管B:ヨウ化カリウムKI結晶(薬さじ大1/4:0.2g薬包紙)  → 水5 mL加え完全溶解
  3. 試験管BをAに加える:観察
  4. 試験管Aの半量を試験管Bに戻して同量にする。
  5. 試験管C:デンプン水溶液(0.1%,5 mL)を試験管Bにピペットを用いて少しずつ入れて、色の変化を観察する。

「解 説」

ヨウ化カリウムを水に溶解すると…

KI → K+ + I ヨウ化物イオン

過酸化水素水(硫酸酸性)を加え、さらにデンプン水溶液を加えると青紫色の呈色反応(ヨウ素デンプン反応)が観察されたことから、単体ヨウ素I2が生成したことがわかります。

ヨウ化物イオンは酸化され…

2I → I2 + 2e…①還元剤

過酸化水素は酸性下で酸化剤として作用し…

H2O2 + 2H+ + 2e → 2H2O …②酸化剤

  • +②で電子2eを消去する組み合わせの式から、イオン反応式③を完成させると…

H2O2 + 2I + 2H+→ 2H2O + I2 …③

硫酸酸性下での酸化還元反応式としては

H2O2 + H2SO4 + 2KI→2H2O + I2+ K2SO4…④

なお、映像ではヨウ化カリウムの結晶を追加しています。試験管底でヨウ素の単体がさらに生成するため、やや濃い褐色が観察されます。試験管を振り混ぜなければ、グラデーションがしばらく保たれるようです。


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。

◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)


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