エタノールと水を用いてノリに含まれる光合成色素を抽出し、それぞれにブラックライトを照射してみました。すると、クロロフィルは赤、フィコブリンはオレンジ色(映像ではわかりにくい)の蛍光を発しました。多くの植物には光合成色素としてクロロフィルが存在していますが、海藻はフィコブリンという色素も持ち合わせています。
クロロフィルは赤~青の光をよく吸収し、フィコブリンは緑色の光を吸収します。ノリはこのフィコブリンを多く含むのですが、海中では赤い光が十分に得られないため、フィコブリンでも光合成を行うことができるようになっているからであると考えられています。実験としては、斑(ふ)入りのコリウスの葉を用いたオーソドックスな学習の後に、余裕があれば実施したいテーマ。ブラックライトがあれば、材料や操作は簡単なわりに視覚的な効果が得られる良い教材です。
「動 画」ホウレンソウからクロロフィルを抽出・ブラックライトを照射
「動 画」模擬授業記録
◇授業研_指導案(細案)_1年「葉と光合成」
日 時 令和3年11月2日(火) 4校時 14:50〜16:20
場 所 都留市立文科中学校理科室
生 徒 都留市立文科中学校1年1組32名(男17・女15)
指導者(実習者) 都留文科大学3年 教育実習生 SU
指導教員 都留市立文科中学校 教 諭 △△△ △△△ 印
9.知識・技能 |
思考・判断・表現 |
主体的に学習に取り組む態度 |
光合成でデンプンと酸素がつくられることを理解することができる。 |
ノリの実験から海の植物の光合成の特徴を考えることができる。 |
光合成に関心をもって実験にとり組み、結果をまとめルことができる。 |
・学習指導要領(文科省)
・園池公毅,理科教育ニュース,株式会社少年写真新聞,『ノリの光合成色素を抽出してみよう』2015/No.962/11月18日号/p.45『葉緑素の赤い蛍光を観察』2013 /No.899/11月28日号/p.49
【本時の展開】
学習過程 50分 |
学習活動 |
指導上の留意点 |
提示・導入 5分 |
1.語句を全体で確認して前時までの復習をする。 2.本時のめあてを確認する。 |
1.生徒を指名して答えさせる。 2.『ノリ、ほうれん草の光合成色素を抽出し、環境によって光合成色素が異なることを知ろう』 |
実験35分 |
1.プリントを持って集合し、わかめをお湯に通すと色が変わる様子を見る。 2.〈ノリの光合成色素を抽出する実験〉の説明を行う。 3.実験開始 〈ノリの光合成色素を抽出する実験〉の湯煎まで行う。 4.教壇の周りに集合し〈ほうれん草の光合成色素を抽出する実験〉を見る。 5.〈ほうれん草の光合成色素を抽出する実験〉の抽出液を受け取って席に戻り、実験の観察を行う。 6.実験の結果を班で確認し、考察を実験プリントに記入する。 7.班の考察をA3の紙に書き、黒板に貼りに行く。 |
1.生徒を教壇の周りに集合させ、わかめをお湯に通すと色が変わる様子を見せ、色素を用いた実験を行うことを伝える。 → 参考動画 2.実験説明をする。実験の流れを解説する。 ・持ち物と注意事項の確認をする。保護メガネなど 3.生徒と同時に実験を始める。 ・火の周りに物を置かないように指示する。 ・実験操作2まで行う。 4.生徒を教壇の周りに集合させ、〈ほうれん草の光合成色素を抽出する実験〉を演示実験する。 5.〈ほうれん草の光合成色素を抽出する実験〉の抽出液まで作ったら班に配り、実験の観察をさせる。 ・電気を消したり点けたりするときは声を掛ける。 6.観察結果と考察を実験プリントに記入する。 7.班で出た意見をA3の紙に記入し、黒板に貼らせる。 ・出た意見をまとめながら板書する。 |
まとめ・評価・片付け 10分 |
1.片付けをする。 2.今日のまとめを実験プリントに記入する。 3.実験プリントに感想を記入する。 |
1. 片付けをさせる。 (1)試験管の中身は三角コーナーに捨て、割り箸は可燃ゴミに捨てる。器具類はよく洗い、元の位置に戻す。 (2)ブラックライトは前に返却する。 2.まとめ ノリやほうれん草はクロロフィルの他にフィコブリンという光合成色素を持ち、緑の光を吸収する。 3. 今回の授業について振り返りを行い、次時の授業に活かせるようにする。 |
【実験プリント】
実験1:ノリの光合成色素を抽出してみよう
実施日時: 天候 気温 年 組 班 氏名
〔実験目的〕ノリの光合成色素を抽出して、海中の植物の光合成の様子について考える。
〔準 備〕
実験1 試験管2本 ノリ ポット エタノール ブラックライト 試験管立て ガラス棒 駒込ピペット 500 ml ビーカー ふきん 温度計 割り箸 ガスコンロ
実験2 ほうれん草 エタノール 100 ml ビーカー アルミニウムはく ろうと ろ紙 試験管 ガラス棒 ステンレス皿 ガスコンロ
生徒実験
「実験操作」ノリの光合成色素を抽出する実験 1班3-4人想定
(1)ポットのお湯をビーカーに入れ、試験管を50〜60℃の湯煎で30分温める。
※1 お湯を使うので火傷に注意する。
※2水温が下がらないように温度を少し高めにするとよい。
水 |
エタノール |
(2)ブラックライトを当てて試験管を観察する。
水 |
エタノール |
演示実験
「実験操作」ほうれん草の光合成色素を抽出する実験
1.試薬・器具・実験装置の準備
(1)ほうれん草・エタノール・100 ml ビーカー2個・アルミニウムはく・ろうと・ろ紙・試験管・ガラス棒・ステンレス皿・ガスコンロを準備し、所定の場所に置く。
(2)ほうれん草の葉を4、5枚細かくちぎり、ビーカーに入れ、エタノールを50 ml 注ぐ。
(3)ビーカーにアルミニウムはくを被せ、蒸気が出ないようにする。
(4)ステンレス皿に水を入れ、ガスコンロで温める。
※アルコールや紙などをガスコンロから遠ざける。
(5)ステンレス皿にビーカーを入れ5分湯煎する。
(6)葉から泡が出なくなったらビーカーを湯からだし、ろ過する。
2.抽出液の観察
(1)部屋を暗くし、抽出液にブラックライトを当てて観察する。
ライトを当てる前 ライトを当てた後 |
3.考 察(次の各点について、その理由とともに考えを述べ合う。協議のプロセスを大切にしつつ、その結果をまとめる。)
(1)観察の結果から考えられること。
〔片付け〕
〔まとめ〕
〔反省・感想〕
◇理科教育法「1年 生物」葉と光合成p34
◇参考:理科教育ニュース17-45;ノリの光合成色素を抽出してみよう
このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。