液体が光る化学発光という現象…防災グッズはもちろん、コンサート会場でもよく見かけるようになったあの不思議な光り物などに利用されています。
「動 画」シュウ酸ビスを用いた化学発光
□加熱することで反応速度が上がりより強く発光するようになる
「動 画」冷却管を使った演示
□冷却管(お湯で温める用)に通して見栄え改善を試みています。
「解 説」化学発光は、化学反応の結果、いったん励起状態の化学種が生じ、それが基底状態にもどる時に余剰のエネルギーを光として放出する現象です。一般の反応の前後では、熱エネルギーの出入りを伴うことが多いのですが、この種の反応では光エネルギーへの変換が効率よく行われ、熱をほとんど発生しません。これを 冷光ということもあり、この反応機構を体内でうまく行う生物も多数知られています。実験でもちいているシュウ酸ビス試薬は、化学発光の実験の定番試薬で、Rはトリクロロフェニル基、過酸化水素と反応して安定な活性中間体(※)をつくる物質です。この物質がペリレンのような蛍光物質を活性化、励起状態に引き上げると考えられています。
R-O-C=O O-C=O
| + H2O2 → | |
R-O-C=O O-C=O
※中間体
反応機構はルミノールに似てはいますが、光の強さという点では、こちらシュウ酸ビスがはるかに勝ります。化学発光は、舞台効果や防災具、レジャー(キャンプ、つり具など)向けの製品をはじめ、幅広く利用されるようになっています。
◇古い動画:蛍雪の功?発光で文字が読める。
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。
◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)』