たくさんの水を吸い込む不思議物質「吸水性ポリマー」。ふりしぼっても水がでてくるわけではありませんが、内部にたくわえられている水を利用し、水耕栽培のまねごとをしてみます。少々水やりをさぼっても、めでたい結果が得られる、ずぼらな人向きの実験です。
「動 画」準備中
「実験タイトル」吸水ポリマーで野菜を育てる
「サブタイトル」水耕栽培芽が出ためでたい
「操 作」
1.紙おむつを破き、中身の吸水性ポリマーの小片を取り出す。ポリマーが飛び散らないよう、新聞紙等を敷いておくとよい。
2.適当な器に敷いて水を含ませ(約1 gで100 mL程度は吸う)、ニンジン上端の切れ端を上にのせる。
3.数日後には葉が伸びてくる。
「注意と工夫」
「解 説」
1.高分子電解質による膨潤:吸水性ポリマーは高分子化合物で、分子内にカルボキシル基がイオンになったもの(-COO-)とナトリウムイオン(Na+)を含んでいます。両イオンともに水との親和性が高く、水と出会うとナトリウムイオンが離れて外に出て行き、ポリマーにつながっている-COO-が互いに反発します。そのため、分子間にスペースが生まれ、そこに水が入り込んで全体が膨潤するのです。鎖の部分は架橋されているので、分子は溶解せず高分子ゲル状態となります。市販されている紙おむつには、ポリアクリル酸ナトリウムが使われていますが、元の体積の数百倍にまで水を吸い込むとされています。
なお、膨潤したポリマーに強酸を加えると、水がしみ出てきます。これは、酸が加わることでカルボキシル基が-COO-に戻り、ナトリウムイオンを含む水が出てきたことによります。この場合は、酸の水素イオンとナトリウムイオンが交代する、イオン交換が起こっています。この種のポリマーの性質は、イオン交換樹脂として、水の精製(不要なイオン種を除く)に利用されています。
2.食材の切れ端から生命の息吹を感じる:高分子吸水ポリマーは、衛生用品の他、吸湿性建材、土壌保水剤、保冷剤など、様々なものに用いられています。特に、砂漠の緑化計画のような地球的規模のプロジェクトでは、大きな効果が期待されています。実験では、捨てられる運命にあるちっぽけな根菜の切れ端を使って、芽を出させるとういものです。種からではなく、植物体の一部がまた成長を始める…
…省略…
「確認演習」
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。