• 教材や実験の開発情報

『中学校教諭免許状(理科)』の取得も可能に!

これからの教員には専門的なスキルが求められます:教養学部が新設され、学校教育学科では小学校教諭免許に加え、さらに『中学校教諭免許状(理科)』の取得も可能になりました!これは、急速な少子化によって、小中一貫義務教育への対応を考えて新設された制度です。これからの義務教育に関わる教員には、理科や数学、英語といった分野で一定の専門的なスキル(※)が求められるようになるからです。(※今後、小・中学校間での人事異動や、小学校での教科担任制が進行していくことが見込まれます。)

社会全体が急激な変化を深刻に捉えています:学校教育現場は、様々な課題に直面していますが、特に新学習指導要領やアクティブラーニングへの対応が急務となっています。また、急速に展開するグローバル化、あらゆる分野でのAI化により、社会全体が大きな転機を迎えつつあります。学校や大学教育の現場では、この変化を深刻に危機と捉え、様々な取り組みが行われています。

理科教育には追い風:これらの変化は、理科教育においては危機ではなくむしろチャンスです。これまで理科教育において培われてきた教材を創造する力、グループ実験でのアクティブでコミュニケーション能力を高める取り組み、ICT教育などは、今後の学校教育に求められるあらゆる要素を含んでいます。手先を使って実験工作したり、観察によって自然現象に触れる理科という教科は、今後さらに重視され、その価値を高めていくことになるでしょう。

理科教員を目指す人を応援します:そういった認識のもと、基本を大切にしつつ、変化に柔軟に対応できる実践力のある理科教員の養成のため、本webサイトでも関連する情報の発信を行うことにしました。特に、小学校教員免許に加え、さらに中学理科の免許も取得できるようになったことを強くPRしてまいります。まだまだ、緒にについたばかりではありますが、今後とも充実を図っていきたいと思います。

入試情報:理科に強い教員を目指す受験生に魅力的なAO入試

自然環境科学系(理科)に関心のある受験生に、特にAO入試(2つのパターン:Ⅱ期・Ⅲ期)をお勧めします。自由研究や科学展での研究発表などの経験がある人は、負担感なく気軽にチャレンジできるのではないでしょうか。特に、Ⅲ期入試は理科に特化した入試なのでおススメです。しかも、Ⅱ期との併願も可能ですのでたいへん魅力的です。

入試情報に関しましては、年度によって若干の変更が加えられる場合もあります。詳細は、本学公式WEBサイトにてご確認下さい。 → 都留文科大学入試情報


理科教材開発の基本コンセプト

教材を工夫・創造することはなぜ必要か?

教科書や関連の資料には、教科の理解を助ける、いわゆる「教材」というものが当然のごとく掲載されています。また、もちろん書籍とともに、身の回りにも教材となる事物は数限りなく存在しています。しかし、私たちが何の疑問もなく「適切な教材」と思っていたものでも、児童・生徒に指導する側から考えると、ただそのまま用いただけでは実践上困難な場合が少なくないのです。

例えば、化学でよく実践されている炎色反応の観察の実験を考えてみましょう。教科書に掲載されている通りに実施するには、まず標準的な器具である白金線を用いることになるでしょう。しかし、白金線は、1本¥3000以上はしますから、各班(10班と教員の演示用1本)で新たにそろえると3万円以上もかかるのです。また、実験操作での炎色反応の観察自体は一瞬(0.5秒くらい?)で、別のイオンの溶液の作業に移るのにいちいち洗浄して使いまわし、観察はまた一瞬です。様々な金属イオンを同時には観察できないのです。あまりに一般的で単純だと思われている炎色反応の実験ですら、まったくもって非能率であり、コスト的にもかなり厳しいものなのです。しかも、一次的に備品として白金線を確保できたとしても、折れたりして消耗していきますから、予算が圧迫され、その実験か他の実験をあきらめざるを得ないようなことも多くなっていくのです。

この例のように、いくら教員に意欲があっても、教育課程、予算などの学校現場環境、児童生徒の実態によって困難に直面することも多く、それがそのまま理科教育の課題になっている現実があるのです。

そこで、次に示すように「綿棒をメタノールで湿らせて、丸めた粘土に立てて同時に着火させる工夫」を考えてみることにしましょう。まず、動画をご覧ください。動画では色の違いは見えにくいかもしれませんが、実際に実験をしてみるとかなりハッキリと観察できます。

使用した綿棒の価格は、200本組で99円でした。しかも5本同時に、メタノールにも助けられて数秒間は光を発し続けます。綿棒自体に含まれるイオンの影響もありますが、実験そのものの目的や児童生徒の充実感を考えれば、実践の意味は大きいのです。

この炎色反応における教材開発実践例のように、教材を工夫、あるいは創造していくことが、学校教員の現状を考える上でいかに重要かということがわかります。児童生徒の実態や学校現場の施設・設備・予算・組織等々を踏まえ、現実に基づいた教材を求めていく態度が大切なのです。本学の教材研究のコンセプトは、理科学習の狙いがあり、ではそれを達成するために現場にどのような課題があるかを認識することから始まります。情報を収集し素材を活用し、試行錯誤を繰り返しながら工夫と創造につなげていく。結果として理科教員としての実践力を向上させることにあるのです。

都留文科大学 特任教授 山田暢司


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