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シャープペンシルの芯に電気を流すと橙色に輝き、ガラスびんに入れるとまるで電球のようです。乾電池数本を用いたシンプルなエジソン電球モデル。

「動 画」シャープペンシルの芯が光る

電圧を操作すると比較的長く発光させることができます。抵抗の大きい細い芯に電気が流れると、エネルギーが熱や光となって放出されることを利用しています。

◇キーワード:黒鉛 導電性 電磁波 輻射熱

「解 説」

1.  芯が発光する:芯の主成分である黒鉛には導電性があり、特にシャープペンシルの芯のように細い素材の場合は、電子が通過する際に熱エネルギーを生じやすくなります。これがある程度の温度になると、素材(黒鉛)そのものが光を放つようになるのです。この通電による発光は電磁輻射で、物体の温度に応じた波長の電磁波が輻射されるものです。始めは暗い橙色ですが、芯の温度が高まってくると黄色~白色へと明るく輝き出します。一般の照明具のフィラメントに融点の高いタングステン(3,382K)が使われるのは、人が自然と感じる太陽の表面温度(約5,600K)に近づけるための工夫であるとされています。なお、芯が焼き切れる寸前の強く白い輝きは、アーク放電であると考えられます。

2.  芯の成分「黒鉛」の導電性:芯の主な素材である黒鉛(グラファイト)は、炭素原子どうしがsp2で平面に広がる共有結合でつながり、6角形の網状の構造をつくっています。残りの電子はπ結合により、平面から一定範囲内で自由に動けるので電気を導くのです。物質全体としては、平面が層状になってファンデルワールス力で結合した層構造をしています。鉛筆の芯を紙面に押しつけると、文字や絵として認識されるのも、緩やかな結合によって重なっている層がはがれやすいことによります。


◇山田暢司『身近なものを素材として使う実験』化学と教育2003年51巻4号p224

◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




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