No.12 解説のみ
「表 題」ダニエル電池の作製と電池性能の測定
「目 的」亜鉛-銅によりダニエル電池を作成し、放電による変化を観察する。また、外部端子抵抗による内部抵抗の測定を試みる。
「概 説」
1.ダニエル電池の金属板付近で起こる化学変化としては、亜鉛が電子を放出し亜鉛イオンとなり、銅イオンが電子を受け取って単体の銅に還元されることである。
Zn →[ Zu2+ ] + [ 2e– ] …①
Cu2+ + [ 2e– ] → [ Cu ] …②
電子e–を消去するために①+②としてまとめると…
Zn + Cu2+ → [ Zu2+ ] + [ Cu ]
2.この化学変化を電気化学的にみると、
Zn2+ + 2e– = Zn – 0.762V_EZn
Cu2+ + 2e– = Cu + 0.340V_ECu
酸化電位E=ECu-EZn より、
Cu2+ + Zn = Cu + Zn2+ + 1.102V
この酸化電位+1.102Vが、ダニエル電池の理論起電力になる。電池式は、電解液を組み合わせて次の表記になる。
(-)Zn |Zn2+・ZnSO4 | CuSO4・Cu2+| Cu(+)
3.電池性能の低下:化学電池は放電の進行によって化学反応の[ 速度 ]が低下し、劣化は [ 電圧 ]降下というかたちで表れる。主な要因としては、活物質濃度低下:反応に関わる化学物質の濃度が低下する。特に電極付近で起こることによる。イオン伝導度の低下:電解質内を移動するイオンの速度が低下する。電解質膜の劣化もイオン伝導度の低下をもたらす。電極活性の低下:金属板の表面や触媒機能が低下することによる。
4.電池性能の測定:最も簡便な方法が電池の内部抵抗を測定することである。内部抵抗rは、開放電圧Eの電池に抵抗Rをつないで実際に電流を流した時にかかる電圧降下の割合で、V = E-rI で表すことができる。また、抵抗にかかる端子電圧はオームの法則V=RIにより求まる。
V=E-rI V=RI
電流Iを消去すると内部抵抗rは
r=R[(E/V)-1]
この内部抵抗rは、電池性能を判断するバロメータとなる。
5.回路に流れた電気量:金属板の質量の変化から、移動した電子の量がわかる。1molの物質量に相当する電子の電気量は、約96485〔C〕とわかっている(ファラデー定数)ので、おおよその電気量を算出することはできる。移動した電子の量をn〔mol〕とおくと、
電気量:Q = n(電子の量)×96485〔C〕
しかも、電気量Q は、電流I〔A〕が流れ続けた時間t〔s〕の積でも表現されるので、 電力量:Q=It〔C〕
したがって、電気を流していた時間がわかれば、平均的に流れていた電流値も算出可能である。
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「表 題」ダニエル電池の作製と電池性能の測定
「目 的」亜鉛-銅によりダニエル電池を作成し、放電による変化を観察する。また、外部端子抵抗による内部抵抗の測定を試みる。
「概 説」
1.ダニエル電池の金属板付近で起こる化学変化としては、亜鉛が電子を放出し亜鉛イオンとなり、銅イオンが電子を受け取って単体の銅に還元されることである。
Zn →[ Zu2+ ] + [ 2e– ] …①
Cu2+ + [ 2e– ] → [ Cu ] …②
電子e–を消去するために①+②としてまとめると…
Zn + Cu2+ → [ Zu2+ ] + [ Cu ]
2.この化学変化を電気化学的にみると、
Zn2+ + 2e– = Zn – 0.762V_EZn
Cu2+ + 2e– = Cu + 0.340V_ECu
酸化電位E=ECu-EZn より、
Cu2+ + Zn = Cu + Zn2+ + 1.102V
この酸化電位+1.102Vが、ダニエル電池の理論起電力になる。電池式は、電解液を組み合わせて次の表記になる。
(-)Zn |Zn2+・ZnSO4 | CuSO4・Cu2+| Cu(+)
3.電池性能の低下:化学電池は放電の進行によって化学反応の[ 速度 ]が低下し、劣化は [ 電圧 ]降下というかたちで表れる。主な要因としては、活物質濃度低下:反応に関わる化学物質の濃度が低下する。特に電極付近で起こることによる。イオン伝導度の低下:電解質内を移動するイオンの速度が低下する。電解質膜の劣化もイオン伝導度の低下をもたらす。電極活性の低下:金属板の表面や触媒機能が低下することによる。
4.電池性能の測定:最も簡便な方法が電池の内部抵抗を測定することである。内部抵抗rは、開放電圧Eの電池に抵抗Rをつないで実際に電流を流した時にかかる電圧降下の割合で、V = E-rI で表すことができる。また、抵抗にかかる端子電圧はオームの法則V=RIにより求まる。
V=E-rI V=RI
電流Iを消去すると内部抵抗rは
r=R[(E/V)-1]
この内部抵抗rは、電池性能を判断するバロメータとなる。
5.回路に流れた電気量:金属板の質量の変化から、移動した電子の量がわかる。1molの物質量に相当する電子の電気量は、約96485〔C〕とわかっている(ファラデー定数)ので、おおよその電気量を算出することはできる。移動した電子の量をn〔mol〕とおくと、
電気量:Q = n(電子の量)×96485〔C〕
しかも、電気量Q は、電流I〔A〕が流れ続けた時間t〔s〕の積でも表現されるので、 電力量:Q=It〔C〕
したがって、電気を流していた時間がわかれば、平均的に流れていた電流値も算出可能である。