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「動 画」実践記録

「欠席者用:参考資料」

No.4

学籍番号[    ]氏名[       ]

「表 題」
炎色反応による成分分析

「目 的」
金属種によって特定の光を発する炎色反応の観察とその応用によって有機化合物中に含まれるハロゲンの存在を確認する。

「概 説」
1.電子の振る舞いによる光:原子中の電子は、通常は基底の軌道に存在するが、外部から[ エネルギー ]を与えられることにより、外側の軌道に移動して励起状態となる。この励起状態から元の基底状態に戻る際に余ったエネルギーが[ 光 ]として放出される。しかし、電子は決まったいくつかの軌道にしか存在できないので、電子の持つエネルギーは、連続的ではなく、とびとびのまとまった特定の値(量子)になる。従って、放出される光も特定波長の[ 色 ]を放つものとなる。

2.炎色反応:アルカリ金属、アルカリ土類金属、銅などの金属塩を炎に入れると、その金属特有の色を発することがある。例えば、アルカリ金属のリチウムLiは赤い炎色を呈するが、電子が基底状態に戻る際に発する光の波長が赤に相当するのである。放出されるエネルギーEと振動数νは比例し、次式のように示される。

E =hν (h:プランク定数)

振動数の大きい(波長が短い)青~紫系の光は、赤系の光よりもエネルギーが[大き ]いことになる。なお、人間に見える光(可視光線)の波長は、おおよそ400 nm~770 nmであり、その範囲より短いものを紫外線、逆に長いものを[赤 ]外線と呼んでいる。
3.炎色反応を観察しやすくするためには、サンプルが高温に加熱され気体状の原子となっている必要がある。例えば、銅線を単に加熱するだけではなかなか原子は蒸発しない。しかし、塩素との化合物とすればイオン結晶が熱により解離し、原子化(気化)しやすくなって沸点が低くなるのである。教科書の炎色反応の実験では、[ 白金 ]線がよく用いられる。これは、この金属が非常に安定(融点3825℃)でイオン化しにくく他の金属イオンの観察の妨げにならないからである。

4.プラスチック中の塩素の検出「バイルシュタイン試験」:銅線を加熱しても銅の沸点は2630℃と高いので、銅は蒸発せず炎色反応が起こりにくい。しかし、プラスチックのような[ 有機 ]化合物に含まれる塩素がラジカルとなると、熱せられた銅の表面で塩化銅(ⅠまたはⅡ)を作る。これは融点が低いので、その一部が気化し緑色の光を発するというものである。フリードリヒ・バイルシュタインが考案した簡単なハロゲンの検出法(フッ素は不検出)である。

「準 備」
試薬A-E(塩化カリウムKCl・塩化ナトリウムNaCl・塩化リチウムLiCl・塩化銅CuCl2・塩化バリウムBaCl2をそれぞれ小容器に分けておく) 綿棒5本 油粘土 チョーク メタノール ライター 銅線(約20㎝) 消しゴムなどサンプルとするプラスティック ブンゼンガスバーナー

「操 作」
【実験A】
1.5本の綿棒を固定するための粘土を約10㎝間隔で配置する。(チョークで記載)

2.メタノールで湿らせた5本の綿棒のそれぞれの先端に、5種類の試薬A-E(容器に入っている)を極少量つける。

3.ライターを使い、それぞれの綿棒に一気に点火して、炎の色を観察する。

【実験B】
1.適当な太さの銅線(約20㎝)をガス炎で加熱する。

2.あらためて銅線を赤熱し、サンプルとするプラスティック(消しゴムなど)に押しあてる。ふたたび銅線の先端を炎の中に入れて、付着していたプラスティックを燃焼させる。

「工夫と注意・片付けなど」
1.それぞれの試薬が混じらないよう、容器を離しておく。
2.メタノールは揮発しやすいため速やかに実施すること。
3.綿棒は、実験後に水でぬらし、完全に消火を確認してから廃棄する。
4.十分に換気をすること

「観察・結果」
1.操作図:実験A

2.操作図:実験B
・Cu線 ・高温部

「考 察」
1.実験Aについて
(1)試薬A~Eの炎の色からその試薬に含まれていると考えられる金属を推定し元素記号で表しなさい。
A  B  C  D  E
色(  )(  )(  )(  )(  )
元素記号(  )(  )(  )(  )(  )

(2)本実験では白金線ではなく綿棒を用いている。その利点は…?
・Ptよりもはるかに[ 安価 ]で同時に多数回の[ 比較 ]観察が可能となる。
・綿に燃料が保持されやすく燃焼[ 時間 ]を大幅に確保することができる。

(3)エタノールよりもメタノールが推奨される理由は?
・エタノールの燃焼時よりも炎色([ 橙 ]色)が目立たないので観察しやすい。 → 分子内の炭素含有率が「 低 ]い

2.実験Bについて
(1)銅線を直接加熱しても銅の炎色反応が見られない?
・炎色反応は、銅が[ 気体 ]状になっている必要がある。しかし、ガスバーナーでは銅の沸点には達しない。
(2)プラスティックを付着させると緑色の炎色が観察される理由…?
・共有結合が切断されて[不対 ]電子(フリーラジカル化) → [不 ]安定 → 銅との化合物で融点の低い[ 塩化 ]銅が生成 → 炎色反応観察可能


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