• 教材や実験の開発情報

空き缶やペットボトルにエタノールを入れて点火します。少量のエタノールでも、空気との混合比が一定の範囲内になると爆発的な燃焼が起こります。

「動 画」消毒用エタノール(除菌スプレー等)の使用での事故について_解説編

□可燃性物質の取り扱い注意を喚起する内容となっています。

「動 画」点火時をスローで観察

□意外に大きな炎が出ていることがわかります。過剰のエタノールを用いると爆発後も缶の底に残って燃焼が続いていることがあるので注意が必要です。ぬれ雑巾を準備しておいて、完全に消火したことを確認してください。

「動 画」ペットボトルに煙を入れての演示実験

□燃焼反応の速さを実感させる演示例:取り扱いに注意を要します。

「解 説」

爆発が起こる条件:エタノールは有機化合物であり、含まれている炭素Cが燃焼してCOに変化する際に熱エネルギーが放出されます。燃焼が起こるためには、ある一定の割合で空気(酸素)と混合されている必要がありますが、反応のパターンはその空気との混合比の影響を大きく受けます。例えば、大量の燃料を用いても、空気(酸素)が不十分であれば炎はオレンジ色になりメラメラと燃えるだけでススが出たりするわけです。逆に、少量の燃料でも多くの空気(酸素)に触れてやるようにすると火勢が強くなり、炎は青味を帯びて爆発を起こすこともあります。ただし、空気(酸素)との混合比が高過ぎても反応効率が下がることもあります。特に、燃焼効率が高く状態で反応が起こるのが爆発という現象で、燃料との混合比を燃焼(爆発)範囲と表現することがあります。この燃焼範囲は、物質によって異なり、例えば石油よりガソリンの方が爆発が起こる範囲が広い(爆発しやすい)などと表現されます。
火の扱いは大仕事:学校現場では生徒の火の扱いの下手さ加減がよく話題になりますが、ガスバーナーはおろかマッチを擦ること自体が大仕事です。ところが、そうグチをのたまう先生方の中にも火を直接扱う文化から疎遠な世代が多くなり、火の扱いそのものを敬遠する傾向が出てきているようです。かつてはアルコールランプやガスバーナーは実験道具の定番でしたが、もし事故が起きたらそれこそ大変と、神経質に考えを巡らす傾向が強くなったのでしょうか。それとも、実験準備そのものが面倒で、火を使った実験が相対的に減ったのでしょうか。いずれにせよ、子どもにとってダイナミックな科学現象に出会う機会が少なくなったことで、かえって大きな事故を招いたり、それらへの対応能力が劣ってきているということはないでしょうか。基本的な配慮事項を守ればどうということはないので、安全への配慮を徹底した上で、体験をさせることを大切にしていきたいものです。


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。




コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。