化学基礎実験_実験NOTE
「動 画」実践記録
「欠席者用:参考資料」
No.9
「表 題」イオンとイオンからなる物質の性質
「目 的」イオンからなる物質の固体と水溶液にした場合の粒子としての振る舞い、特に電圧をかけた場合に起こることについて考察する。
「概 説」
- イオンが電気を導く:イオン結晶は、正負のイオンが電荷を[ 中和 ]するように規則正しく並んで構成されている。このイオン間の結合は強固であり、結晶内部でのイオンの動きは抑制されているため、結晶そのものは電気を通[ さない ]。しかし、水のような極性を持つ溶媒に溶解すると、イオンが自由に動き回り電気を導く[ 電解 ]質水溶液となる。材料のホットケーキミックスには、糖質の他にイオン性の物質(Na+,HCO3–,NH4+,Cl–など)もたくさん含まれているので、水に溶解すると電気を導くようになる。
- 生地の膨張:電気エネルギーが[ 熱 ]エネルギーに変換され、炭酸水素ナトリウムが熱[ 分解 ]して気体(二酸化炭素や水)が生成する。
2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + [ CO2 ]↑
炭酸水素ナトリウム 炭酸ナトリウム 水 二酸化炭素
発生した気体が糖質の生地の中に留まることでふかふかした構造ができる。
- 水分が蒸発する:通電による発熱で糖質の生地が[ α ]化するとともに、次第に水分が失われイオン移動が鈍くなる。次第に、電流の流れが減ってうまい具合にスイッチが切れる。なお、水の蒸発熱は41kJ/molで、100 ℃の水18 g(= 1 mol)を蒸発させるだけで41 kJものエネルギーを必要とする。
H2O(液) → [H2O(気) ]
△H = [ – 41 kJ ]
「準 備」
牛乳パック(底面から電極の長さに合わせて使う) ホットケーキミックス粉96 g スプーン+容器 牛乳75 mL 割りばし 電極用チタン板2枚 専用の電気コード(ミノムシクリップ付き) ガムテープ アルミホイル つま楊枝 味付け用粉末 スプーン スプーン
「操 作」
- 紙パックを電子天秤に置き、ホットケーキミックス粉を直接入れて96 gを秤取る。
- ビーカー(100mL)を用いて牛乳(または水)75 mLを加え、割りばしでよくかき混ぜておく。 → あまり時間をかけない
- 紙パックの側面(対面)に電極用チタン板2枚を配置し、専用の電気コードのミノムシクリップ部で固定する。
- 紙パックを電源の近くに移動させ、コード部分をガムテープで固定する。 → まだ電源に差し込まないで待機!
- 転倒のおそれがないと確認した後、電気コードプラグを電源タップに差し込む。→以降は片手操作 → 5分以上通電
- 水蒸気が出なくなって一定時間経過後、電極に触れないようにしてプラグをコンセントから抜く。
- 紙パックの中身を取り出してアルミホイルの上に置き、つま楊枝などで突き観察する。
「工夫と注意・片付けなど」
- 電気コードが短いので、電源の近くで操作すること。
- 電極を手で触れていないことを確認し、電源を入れた後も、決して手を触れないこと。また、牛乳パックを転倒させてしまった場合でも、あわてて手を出さないこと。
「観察・結果」
・[ 感電 ]のダメージを減らす
・湯気 ・発泡 ・熱発生
「考 察」
・熱[ 分解 ]反応
・2NaHCO3 → Na2CO3 + H2O + CO2 ↑
[ 発泡 ]
・[ 糖 ]類(高分子化合物)
・デンプンの[ α ]化 [エアイン ](ふかふか)構造
- この装置は「電気パン調理の原型」であるが、特に電源を切るタイミングを気にしなくても良いといわれている。これはどういうことか?
・電気エネルギー → 熱エネルギー → 焼き上がり → [ 水 ]分減少 → [ イオン ]移動低下 → 電気が流れ[ にく ]くなる
- 電極として用いた金属「チタンTi」の基本的な性質を説明しなさい。また、鉄板や銅板を用いる場合と比べて、教材として優れている点を述べなさい。
・安全性が[ 高 ]い
・イオン化し[ にく ]く安定
※鉄や銅は電気分解を受けて[ 溶出 ] しイオンとなる。 → 濃度によって[有害 ]となる
・元素名の由来[タイタン ]