化学基礎実験_実験NOTE
「動 画」実践記録
No.5
「欠席者用:参考資料」
「表 題」マグネシウムと酸の反応により発生する気体(水素)量の測定
「目 的」マグネシウムと塩酸の反応により発生する水素の量を捉えることで化学反応の前後において質量の総和に変化がないこと、化学反応式の示す物質量の関係が保たれることを確認する。
「概 説」
- 質量の総和は保たれる:化学反応の前後では、その質量の総和が保たれる(ラボアジェ の[ 質量 ]保存の法則)。マグネシウムと塩酸との反応においては、塩化マグネシウムと水素が生成するが、反応の前後でその質量の総和は保たれる。
Mg + 2HCl → MgCl2 + [ H2 ]↑
これを物質量で捉えなおすと、1molのマグネシウムと2 molの塩化水素が反応して、1 molの塩化マグネシウムと1 molの水素が発生することになる。原子間の[ 結合 ]が再構成されても、原子単位での質量に変化はない。
- 発生する水素量の測定:反応物がすべて生成物に変化したと考えて得られる理論的な数値が計算値である。例えば、1 molのマグネシウム(24.3g)からは、1 molの水素4 L(標準状態)が得られることになる。実験では、水素を水上置換で気体として得て、その時の気圧P、水素の体積V、絶対温度T、気体定数Rから物質量n(=m/M)が求まる。
気体の状態方程式: pV = nRT
※ n ( = m/M )
- 実際にはマグネシウムの純度や反応効率、発生した水素の純度(水蒸気の影響)なども影響して、計算値通りにはいかない。特に、水素を水上置換で捕集するため、水蒸気圧の影響を補正しなければならない。外部の気圧(大気圧 PO )と水蒸気圧( PH2O )、水素の圧力( PH2 )との関係は次の通りである。
PO = PH2O + PH2
「準 備」
精密電子天秤 50 mLビーカー マグネシウムリボン約0.17 g(約10 cm) ハサミ ふたまた試験管 4 mol/L塩酸15 mL 駒込ピペット(10 mL用) L字型気体誘導管 200 mLメスシリンダー 水槽(ケース下の部分を使用) ライター 水素ガスボンベ 菓子用容器
「操 作」
- 精密電子天秤に50 mLのビーカーを置き、マグネシウムリボンの質量を精秤する。→ 観察2へ記録
- 試験管に4 mol/L塩酸10 mL(駒込ピペット10 mL用)とる。
- 塩酸をふたまた試験管の一方に注ぐ。 → 試験管たてに置く。
- L字型気体誘導管をつけ、水槽中に逆さにして水で満たした200 mLメスシリンダー内に導く。
- ふたまた試験管を傾けて反応を開始、発生した気体を捕集する。
- 反応が完全に終わったところで、ふたまた試験管を水槽に浸ける。→ 温度を合わせる
- 捕集した気体の体積を測定する。
- 計測後、シリンダー下部を手で塞ぎながら、捕集した気体にライターで点火する。
→ 操作方法注意!
※水素爆発演示実験!
「工夫や注意点・片付け等」
- 誘導管の先は指で押さえて、水が入らないようにしてメスシリンダーへ導く。
- 体積は反応が落ち着いて、装置全体の温度の影響が少なくなってから測定する
「観察・結果」
・ふたまた試験管 水槽 メスシリンダー
- 使用したマグネシウムリボンの質量と得られた気体の体積の実測値
m:( 0.17 )g v:( 約150 )mL
した際の様子
「考 察」
- 外部の気圧(大気圧PO)と水蒸気圧(PH2O)、水素の圧力(PH2)との関係を概念図で描き表しなさい。
- 実際に得られた気体の体積v mLから、発生した水素の物質量 nH2 [mol](3ケタ)求めなさい。ただし、反応物はすべて化学反応式のとおり完全に反応し、温度27℃、大気圧PO = 1.00×105 Pa、水蒸気圧PH2O = 1.04×103 Pa,気体定数R = 8.31×103〔L・Pa/K・mol〕とする。
・ PH2V = nH2RT
↓
PO = PH2O + PH2 より
PH2 = PO – PH2O
= [ 100000 – 1040 ]
= [ 98960 ]
≒ [ 9.99 ]×104 Pa より
捕集した水素の物質量nH2は気体の状態方程式より… nH2 = PH2V/RT
= [ ] mol
- 使用したマグネシウムについて
- マグネシウムの物質量nMgを求めなさい。
・nMg = m/MMg = [ 0.17/24.3 ]
≒ [ 0.007 ]
- 得られた水素の物質量nH2とマグネシウム物質量から、使用したマグネシウムリボンの純度AMg% を求めなさい。
・AMg = nH2 / nMg ×100 %
= [ ]
≒ [ ] %
- 水上置換法について
- 水上置換で捕集することが適切である気体の条件は何か?
・水に[ 不溶 ]
- 発生してきた気体の体積測定について
- いったんふたまた試験管を水槽の水に浸けた理由は何か?
・反応[ 熱 ]による[ 体積 ]膨張の影響を排除する
P1 P2
↓ ↓
→ 液面一致
P1 = P2
- メスシリンダーで捕集した気体には、もともとふたまた試験内に存在していた空気も混入していたが、それは得られた気体の体積に影響をほとんど与えないという。その理由を考察しなさい。
・[ アボガドロ ]の法則:気体が占める体積は種類によらない。 → [ 物質 ]量による 1 mol/L = 22.4 L
・追いやられる空気の体積
= 発生した[水素 ]量と考えてよい