ペルチェ素子の両面に温度差を設け、発生する電気によってモーターを駆動させます。異種の金属や半導体間で電子の偏りが生じる現象を利用するものです。
「動 画」温度差を設けると電圧が生じる
異種の金属や半導体間に温度差が生じると電子移動のしやすさにも差が生じ、電子の移動が一方に偏る結果として、その間に電位差が生じます。この現象は、1821年にトーマス・ゼーベックが発見し、その名を冠して「ゼーベック効果」と呼んでいます。動画では、下部に配置したお湯の熱がペルチェ素子下部に触れているステンレスに伝わるようにしています。また、ペルチェ素子の上面には、冷水を入れたビーカーを乗せただけのシンプルな装置となっています。お湯の温度は70℃程度で、冷水は10℃くらいですが、低電圧で作動するソーラーモーターは元気に作動させることができます。工夫としては、氷に食塩を加えて寒剤としたり、お湯はスチロールカップなどを用いることで温度差を大きくして、より高い電圧を得られるようにすると良いでしょう。
なお、やはり異種の金属や半導体間に電気を流すことで温度差を作り出すこともできます。これは1834年にジャン・シャルル・ペルチェが発見した現象で、こちらは「ペルチェ効果」と呼ばれています。「ゼーベック効果」と「ペルチェ効果」は表裏一体の現象で、これらの現象を活用した装置としては、動画で用いた教材のように「ペルチェ素子」の呼び名で扱われています。ペルチェ素子は、温度センサーや冷蔵庫、パソコンのクーラーなどあらゆる分野で幅広く利用されるようになっています。
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。