ツクシのまた緑色のままの先端部分をピンセットでつついて、中に入っている胞子をスライドガラス上に乗せて観察します。すると、少し風があたるとこまかく動く様子が観察できます。
胞子から出ている糸状の弾子が、乾燥によって伸びることで動くためで、遠くに飛んでいって、物体にからみつくようにつくられているとされています。ツクシはスギナの胞子茎、春になると胞子を散布して生育地を広げていきます。
教科書では、種子をつくらない植物としてシダ・コケ植物が挙げられています。種子植物と同様、維管束を持ち、葉・茎・根の区別があります。特に、茎は、地下茎として地表面の近くに広がるものが多く、ツクシ(スギナ)はその代表格として知られています。採取したサンプルをばらばらにして、植物のつくりを観察するのにも適した教材です。
「キーワード」胞 子
「画 像」スギナとツクシ
スギナの観察
「目 的」
種子をつくらない植物「スギナ」構造とツ クシ先端の胞子のうを観察する。
「学習項目」 シダ・コケ植物 胞子 弾子
「実験概要」
1.ツクシ:スギナの胞子茎で、胞子から出 ている糸状の弾子が、乾燥によって伸びて 動くのが観察できる。遠くに飛んでいって、 物体にからみつきやすいようなつくりで あると考えられる。春になると風に乗った 胞子はより移動しやすくなり、生育地を広 げていくことになる。
2.種子をつくらない植物:教科書では、種 子をつくらない植物としてシダ・コケ植物 が挙げられている。種子植物と同様、維管 束を持ち、葉・茎・根の区別があり、特に 茎は、地下茎として地表面の近くに広がる ものが多く、ツクシ(スギナ)はその代表格。
「準 備」
先端部分がまだ緑色のままのツ クシ数本 スギナ 1 本 シャーレ(または トレイ) 顕微鏡 スライドガラス ピン セット ろ紙
「操 作」
1.先端部分がまだ緑色のままのツクシとス ギナを事前に採取しておき、シャーレ(ま たはトレイ)上におく。
2.顕微鏡を準備する。
3.スライドガラス上に乗せて、ツクシの先 端部分をピンセットで突き、内容物(胞子) を出す。
4.カバーグラスは使用せず、そのまま観察する。
5.ピントを合わせたところで、少し風を起 こし観察する。
6.スギナの成体を観察する
「注 意」
1.対物レンズ部注意!
「片付け」
1.対物レンズ部をろ紙でふき取る。 2.スライドガラスは洗浄する。
「観察記録」
1.顕微鏡で観察したツクシ胞子の様子(倍 率)
2.少し風を起こしたとき…
3.スギナ(成体)の構造
「考察・教材研究」
1.種子をつくらない植物としての特徴
2.教育課程上の位置づけ
3.指導上の留意点
◇理科教育法「1年生物」p52-:種子をつくらない植物
◇「参 考」理科教育ニュース_理科実験大百科第15集,少年写真新聞社,53
「模擬授業記録」学生用
「実践記録映像」2021.4.13
第1学年1組 理科学習指導案
授業者 M
日時 令和3年4月13日
場所 S2教室
1 単元名 「スギナとつくし 種子をつくらない植物」
2 単元について
本単元は,身近な植物の観察・実験を通して、植物の体のつくりとはたらき、生命の連続性について理解するとともに,科学的に探究するために必要な観察,実験などに関する基本的な技能を身に付けるようにする。
本学級の子どもたちは,小学校第3学年で「身の回りの生物」,第5学年で「植物の発芽,成長,結実」を学習した。また緑豊かな自然環境の中で育ったため,小さなころから身の回りの植物や動物に興味を示してきたのではないかと考える。この実験,観察を通して,子どもたちの自然を探求する姿勢を育てていきたい。
指導に当たっては,まず顕微鏡を使用する際の注意点を説明し,次に片付けにおいての注意点を説明する。そして,胞子に風を当てたときの胞子の様子から,シダ植物が子孫を残すための工夫と,その面白さを味わわせたいと考える。
3 単元の目標
種子をつくらない植物「スギナ」構造とツクシ先端の胞子のうを観察する。
4 単元計画(全10時間)
時数 | 項目 | 観察・実験 | 評価 | ||
3 | 1、花のつくりとはたらき ①②花のつくりとめしべや果実のつくり ③裸子植物と被子植物 | ①②花のつくりとめしべや果実のつくりを顕微鏡や虫メガネで観察する。 ③マツの花のつくりを調べる。 | 知識・技能 | 思考・判断・表現 | 主体的に学習に取り組む態度 |
〇花の基本的なつくりや被子植物と裸子植物の特徴について理解し,その知識を身に付けている。 〇ピンセットなど用いて花を解体し,花のつくりの標本をつくっている。 | 〇裸子植物と被子植物を比較して,相違点を見出してまとめ,表現している。 〇身近な花のつくりの共通点や相違点を見出し,植物の基本的なつくりをまとめ,表現している。 | 〇身近な花のつくりに興味を持ち,いろいろな花のつくりを科学的に調べようとしている。 | |||
4 | 2、根・茎・葉の作りとはたらき ①葉のつくり ②葉と光合成 ③植物と呼吸,植物と水 ④根のつくりとはたらき | ①葉のつくりを観察する。 ③茎の中の水の通り道を調べる。 | 〇根・茎・葉のつくりや形状の特徴を理解し,その知識を身に付けている。 | 〇根・茎・葉のつくりの共通点や相違点を見出し,植物の基本的なつくりをまとめ,表現している。 | 〇葉脈や根のつくりに興味を持ち,芽生えの様子と関連付けて科学的に探求しようとしている。 |
3 | 3、植物の分類 ①種子植物の分類 ②種子をつくらない植物(本時) ③コケ植物とこれまでのまとめ | ②胞子を観察する。 | 〇植物のつくりや形状などの共通点や相違点を理解し,植物を分類するための知識を身に付けている。 | 〇植物のつくりや形状などの共通点や相違点に基づいて植物を分類できることを見出し,表現している。 | 〇習得した知識を活用して,植物のつくりや形状などの共通点に基づいた分類表や検索表の作成に向け,科学的に探究している。 |
5 本時について
(1)本時の目標
種子をつくらない植物について,「スギナ」を例にその胞子を観察し,その成体の特徴と個体の増え方を学ぶ。
(2)展開(9/10)
分 | 学習活動 | 教員の指導・留意点 | 評価規準・評価方法 |
導入 10 | 〇前回の授業の振り返りをし,本時の課題をつかむ。 ・種子をつくる植物を思い出す。 (スギナの採集をする。) 〇観察の準備をする。 準備物 先端部分がまだ緑色のままのツクシ数本,スギナ1本,シャーレ(またはトレイ),顕微鏡,スライドガラス,ピンセット,ろ紙 | ・種子をつくる植物を思い出させる。 ・二人組で顕微鏡一つ,スコップ一つ,ビニール袋一袋。 ・注意すること: スギナは美術棟の周辺で採集。 スコップはペアで一つ。 スコップは洗ってバケツに戻す。 | |
展開30 | 〇スギナの成体をスケッチし、胞子を観察する。 ・風を当てたときの様子を観察する。 〇指名された人は黒板にスギナの成体のスケッチと胞子のスケッチを描く。(二人指名) 〇片付けをする。 | ・顕微鏡の取り扱いの注意点を説明する。 低倍率から始めること,プレパラートと対物レンズがぶつからないようにすることなど。 ・スギナの成体のスケッチと胞子のスケッチが早く終わった人に、黒板に描いてもらう。 ・片付けの指示をする。 黒板に記入する。(器具は洗って元の位置に戻すこと。スギナは燃えるゴミに捨てる。対物レンズについてしまったらろ紙でふき取る。) | ・胞子に興味を持ち、進んで観察に取り組んでいる。 ・顕微鏡の正しい使い方を理解している。 |
まとめ 10 | 〇まとめをする。 ・スギナの成体胞子はどのような様子だったか発表する。 ・シダ植物の特徴をまとめる。 ・事前に撮影した胞子の動画を見る。 〇次回予告 コケ植物について学習する。 | ・スギナの成体について、どのような特徴があったか発問し、シダ植物の体の特徴、増え方に触れながら、板書する。(シダ植物の特徴の穴埋め) ・胞子の動画を見せ、胞子が風を感じたときの様子から、スギナの胞子を飛ばす工夫を考察する。 (弾子が乾燥すると開いて、飛散する。) ・つくしの食材としての利用に触れる。 | ・種子植物との共通点や相違点を理解し、知識を身に付けている。 |
実験プリント
学籍番号[ ]氏名[ ]
「実験テーマ」
スギナの観察
「目 的」
種子をつくらない植物「スギナ」構造とツクシ先端の胞子のうを観察する。
「実験概要」
「準 備」先端部分がまだ緑色のままのツクシ数本 スギナ1本 シャーレ(またはトレイ) 顕微鏡 スライドガラス ピンセット ろ紙
「操 作」
「注 意」
「片付け」
「観察記録」
◎シダ植物の特徴
②種子植物と同様, を持つ。
③種子植物と同様, の区別がある。
( が地表表面に広がる。)
④ がない。
⑤ 的な構造。
「参 考」
◇教科書1年p52-:種子をつくらない植物
◇理科教育ニュース_理科実験大百科第15集,少年写真新聞社,5