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銅は硝酸により酸化され、その水溶液は硝酸銅(Ⅱ)となります。ただし、硝酸の濃度によってその反応性と発生する気体種が異なってきます。

動画での右の試験管は、濃硝酸(13mol/L)に銅片を入れたものです。すぐに反応が起こり、二酸化窒素(褐色気体)が激しく発生してきます。溶液は、たちまち濃い緑色に変化していきます。

Cu + 4HNO→ Cu(NO3)+ 2H2O + 2NO2

左は、希硝酸(6mol/L)を用いた場合で、無色透明の気体がゆっくり発生してきます。

3Cu + 8HNO3 → 3Cu(NO3)+ 4H2O + 2NO ↑

発生する気体は、無色透明無臭の一酸化窒素 NO ですが、酸素と反応すると茶褐色で刺激臭を伴う二酸化窒素 NO2 になってしまいます。実験では、液面近くが、空気中の酸素と反応するため、わずかに褐色になっているのが観察できます。

2NO  + O → 2NO2

一酸化窒素 NO を効率よく捕集するためには、希硝酸の濃度を抑えて、反応の様子を見ながら必要に応じて加熱するくらいがいいでしょう。一酸化窒素は、水に不溶であるため、水上置換によって捕集します。同時に発生する二酸化窒素は水溶して除去されるため、無色透明の一酸化窒素のみが得られます。なお、二酸化窒素の水溶に伴い、硝酸 HNO(と亜硝酸も)が生成するので、水は酸性を示すことになります。

2NO2  + H2O → HNO3  + HNO2

「動 画」一酸化窒素 NO の水上置換

なお、代謝の際に血管内で生成される一酸化窒素 NO が、血管を柔らかくする働きがあるとされています。一酸化窒素 の算出を促すと、脳卒中や心筋梗塞の防止につながることもいわれ、関連の研究が進んでいるそうです。


◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、実験材料・操作、解説の一部を非公開にしてあります。操作に一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものがありますので参考になさってください。

  


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