片栗粉に水を含ませたものは、力を入れると固くなってそのままの形を保ちやすいですが、力をゆるめるとたちまちドロッとして流体になってしまいます。この奇妙な性質は、ダイラタンシーと呼ばれているものです。
「動 画」妖怪ダンス?:学生による演示
カタクリ粉を構成する物質の大きさやその粒子の並び方、粒子間にある水などが複雑に関係し、静止状態と外力を加えられた状態で微妙な変化が起こります。これらの奇妙な現象は、ダイラタンシーの一種と考えられています。
「動 画」割りばしなどに引っかかる…他
カタクリ粉に水を含ませますとどろーっとして底にへばりついていますが、それをスプーンですくおうとしても、引っかかったような手応えがあります。手のひらに盛ったものを丸めているときには、なんとか形が整いますが、力を抜くとたちまちどろっとして流れ落ちてしまいます。静止状態では水の中で粒子は一定の距離で互いに密になって液体の性質を示しますが、力を加えると粒子が離れるときに体積が膨張します。その粒子間に水が急激に吸い込まれることで生じた表面張力も関係すると考えられています。
砂浜の波打ち際に立っていると足の周りの砂地が乾いて見えることがありますね。ゆっくり砂地を踏みつけると足は吸い込まれるように入っていきますが、体重をぐっと足にかけるといきなり足の周囲が固まる感じがしてきます。これもダイラタンシーの一種で、カタクリ粉の挙動と同様に考えることができそうです。
◇このブログで発信する情報は、取扱いに注意を要する内容を含んでおり、解説の一部を非公開にしてあります。操作には一定のスキル・環境を要しますので、記事や映像を見ただけで実験を行うことは絶対(!)にしないで下さい。詳細は、次の3書(管理者の単著作物)でも扱っているものが多いので参考にして下さい。
◇著書(単著):『サクッと!化学実験(dZERO)』『高校教師が教える化学実験室』『実験マニア(亜紀書房)』